多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が「先進医療」から「選定療養」へ。費用は安くなった?

配信日: 2021.03.17

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多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が「先進医療」から「選定療養」へ。費用は安くなった?
焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、2020年4月1日より先進医療から削除され、選定療養として行われることになりました。費用面でどのような影響があるのか解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

先進医療とは

先進医療は、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などです。特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療や手術などは、一定の条件を満たすと、厚生労働省に「先進医療」として認められます。
 
代表的な先進医療技術は、がん治療の陽子線治療や重粒子線治療です。多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は2020年4月1日より、先進医療から削除され、選定療養として行われることになりました。
 
選定療養とは、患者自らが選択する療養のことで、先進医療と違い、公的医療保険の適用を検討する項目ではありません。なお、選定療養で使えるレンズは厚生労働省が認可したレンズになりますので数が限られます。
 
先進医療の技術料は公的医療保険の対象外で、全額自己負担です。その他の診察料、検査料、投薬料、入院料などは公的医療保険が適用されます。
 
なお、先進医療と認められない場合(厚生労働省に届け出た医療機関以外で先進医療と同様の治療・手術などを受けた場合など)は、診察料、検査料を含めたすべてが公的医療保険の対象外となり、全額自己負担になります。
 

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の費用

単焦点レンズを用いた白内障手術には公的医療保険が適用されます。費用は15万円程度ですので、自己負担割合が2割の方は、3万円程度の自己負担です。
 
これに加え、多焦点レンズを希望される方は、多焦点眼内レンズ代と追加検査代を自費で払うということになります。従来、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は片方の目で50~70万円程度でした。
 
先進医療から選定療養になったことで、特別料金として患者が支払う部分(医療保険対象外)は、(1)多焦点眼内レンズの購入価格から、単焦点眼内レンズの購入価格を引いた差額、(2)追加検査(角膜形状解析検査やコントラスト感度検査)の合計です(下図参照)。
 
例えば、保険診療での水晶体再建術が15万円(超音波手術)、多焦点眼内レンズの購入代20万円、単焦点眼内レンズ代2万円、追加検査代(角膜形状解析検査およびコントラスト感度検査6000円)と仮定して計算すると、自己負担2割の方の費用総額は21万6000円となります。
 
従来、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は片方の目で50~70万円程度でしたので、費用面で選択しやすくなりました。
 

[費用の内訳]

・保険診療の部分:3万円(15万円×0.2)
・多焦点眼内レンズ関わる差額:18万円(20万円-2万円)
・追加検査代:6000円

 


 

医療保険の先進医療特約は利用できない?

医療保険に、先進医療特約を付けている方は多いのではないでしょうか。
 
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は2020年4月から「先進医療」から削除されたため、契約日にかかわらず、2020年4月1日以降に受けた多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は先進医療給付金等の対象となりません。
 
ただし、手術給付金の対象ですので、忘れずに請求しましょう。なお、手術給付金はあらかじめ定められた定額の金額になります。
 

まとめ

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、先進医療から保険診療と選定療養になったため、費用面で負担が軽くなりました。
 
しかし、多焦点眼内レンズは、見え方のコントラストが多少落ちたり、グレアやハローがあったり、夜間運転時に見づらいなどのデメリットがあります。医師の技術も大きいので、医師選びも大切です。
 
アーティスト、職業ドライバーなど、術後の見え方の質(はっきり見えること)が重要な方で、眼鏡に抵抗がないのであれば,単焦点眼内レンズのほうが適しています。
 
術後、どのような生活を送りたいのか、自分のライフスタイルを考え、医師ともよく相談して単焦点レンズにするか多焦点レンズにするか決めるとよいでしょう。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
 

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