コロナ禍の今、がん検診の受診率が下がる……がん対策はがん保険だけで十分?
配信日: 2021.05.12 更新日: 2021.09.13
2020年の緊急事態宣言の折、がん検診の受診を申し込もうとしたところ、「緊急事態宣言が出ているのでがん検診はできない」と断られたという経験があります。
では、がん検診の受診ができないとどのような問題があるのでしょうか?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
そもそも、がんという病気は国民病
国立がん研究センターによると、日本人ががんにかかる率は、男性65.5%、女性は50.2%という統計が出ています(※2)。
例えば、本稿をご覧いただいている方が、男女それぞれ5人ずついらっしゃるとしましょう。男性5人のうち3~4人が、女性5人のうち2~3人が、がんにかかる可能性があるということになります。
そして、日本人の死因は、3位以下は変動がありますが、1980年代半ば以後、第1位に君臨し続け、人口10万人あたりの死亡率が増え続けているのが、がんなのです(下のグラフを参照)。
(出典:厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況/結果の概要」(※3))
まさに、「がんは国民病」なのです。また、生命保険文化センターの統計(※4)によると、医療保険や医療特約の加入率は下がっているようですが、がん保険の加入率は伸びています。
国民病であるがん、がん保険とがん検診で備えよう
国民病であるがんという病気に備えるために、がん保険に加入していらっしゃる方も多いでしょう。しかし、がん保険だけで十分とはいえないかもしれません。がんを早期発見するためには、がん検診の受診が欠かせません。
がん検診により、自覚症状が出る前にがんを発見することができれば、たとえがんにかかっていたとしても、治療をして完治を目指せるかもしれません。
もちろん、がん検診ですべてのがんが発見できるわけではありません。しかし、がん検診の対象となっているがん(部位)は、日本人の特にかかる率が高いとされているものなのです。
がん検診で早期にがんを発見し、治療を行ううえでがん保険を活用する……基本的なことですが、がんが国民病といわれる日本では、検診と保険の2本柱が重要だと感じます。先行きの見えないコロナ禍において、さまざまな不安が押し寄せる大変な時期ですが、がんに対してもしっかり備えておきましょう。
(※1)
日本生活習慣病予防協会「【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」」
(※2)
国立がん研究センター「最新がん統計/がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2017年データに基づく)」
(※3)
厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況/結果の概要」
(※4)
生命保険文化センター「3 民保の特定の保障機能を持つ生命保険や特約の加入状況/(1)医療保険・医療特約の加入率/(2)ガン保険・ガン特約の加入率、入院給付日額」
(参考)神奈川県「早期発見・早期治療(がん検診)」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役