更新日: 2019.01.11 学資保険
子どもの教育費を貯めるためのあれこれ 「学資保険」が本当にベストなのか?
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
今は低金利で貯めるのが難しい時代
日本は低金利状態が長く続いており、銀行で預金をしてもほとんど利息が付きません。国債等の債券を買ってもなかなか増えていきません。
同じことは保険商品にも言え、貯蓄性のある終身保険や個人年金保険、学資保険等も昔に比べたら増えづらくなっています。一方で、借金をする時の金利も低いので、住宅ローン等は非常に借りやすくなっています。
子どもの教育費を貯める場合、使う時期も額もある程度イメージできるので、親としてはそこへ向けて確実に貯めていきたいところです。貯め方は勿論自由で、学資保険に加入しなければならないことは何もありません。貯め方にはそれぞれ特徴があるので、自分の考えに合った方法を選べば良いのです。
コツコツと積立定期預金をする
確実に貯められますが、ほぼゼロ金利なので、利息で増やすことは期待できず、元本と貯めた額はほとんど差がないでしょう。積立定期預金の仕組みは複雑ではないので、口座を開けば気軽に始められます。
積極的に株式やFXをする
運用の腕次第であり、上手い人や運の良い人は元本に対して大きく増やせるでしょうが、そうでない人は元本の半分になってしまう可能性もあります。良い結果を残すには投資の知識がある程度はないと難しいですし、投資を始めてからも状況をこまめに確認する必要があります。
学資保険に加入する
元本に対してどのくらい増えるかは学資保険によって異なりますが、定期預金と大きな差はないでしょう。
ただ、生命保険商品なので保障が付いていて、契約者(通常は親)が保険料を払っている途中で亡くなってしまった場合は、以後の保険料支払いが免除されます。加入してしまえば、あとは煩わしいことなく貯めていくことができます。
金融商品を使って教育費を貯める以外にも、下記のような方法で準備することもできます。
■ 奨学金を利用する
■ 教育ローンを利用する
■ 月々の収入で賄う
■ 祖父母等に援助してもらう
学資保険のメリット・デメリット
学資保険で準備するメリットは主に下記の3点です。
■ 確実に貯めやすい
■ 保障が付いている
■ 生命保険料控除が使える
学資保険に加入して子どもの教育費を準備する親は多いです。そんなに増えなくても良いから、保険料を忘れずに払っていれば確実に貯められ、親に万一の時でも準備できる点が評価されているからだと考えられます。
デメリットとしては、学資保険は固定金利商品なので、世の中の金利状況や経済状況の変化に対応していくことができません。インフレになって学費が値上げされれば不足してしまいます。学資保険よりも効率良く貯めたい人や貯められる人にとっては、学資保険の貯まり具合に不満があるかもしれません。
子どもにかかる教育費は子どもの人数や進路によって大きく違い、親の収入によって子どもに使える額も違います。教育費の貯め方は子ども(家計)にあった方法がのぞましく、学資保険がベストな場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう。貯める方法は何であっても、子どもの為に確実に貯めるようにしたいものです。
※学資保険の内容は商品ごとに異なります。詳細については必ず生命保険会社や保険代理店等に確認するようにして下さい。
Text:松浦建二 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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