更新日: 2021.06.27 その他保険
社会保険の適用拡大。アルバイト・パートで働く人のメリットとデメリットは?
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
税法上の扶養家族と社会保険上の扶養家族の違い
パートやアルバイトで働く人は収入などの要件により、配偶者などの扶養家族となりますが、扶養家族には税法上の扶養家族と社会保険上の扶養家族があります。
例えば、会社員の配偶者でパートやアルバイトで働いている人は、年収が年間103万円以内の場合は税法上の扶養家族となり所得税や住民税の税金を負担する必要がありません。
また、年収103万円を超えても、年収が130万円未満であれば、社会保険上は扶養家族となり、パートやアルバイト先から社会保険料が引かれることはなく、配偶者の勤務先から交付された健康保険証を使うこともできました。
社会保険の適用の拡大
令和4年10月からの短時間労働者に対する社会保険の適用拡大により、これまでパートやアルバイトで働き、社会保険上の配偶者の扶養に入っていた人でも要件に合致した場合は社会保険の適用対象者となり、社会保険料が引かれることになります。
既に平成28年10月からは500人を超える事業所で働き、継続して1年以上働く予定の人は月額8万8000円以上(年額に換算すると105万6000円以上)の収入があると社会保険が適用となり、毎月の給料から社会保険料が引かれるようになっています。
月額8万8000円以上の収入がある人で、令和4年10月からは事業所の規模が100人超で継続して2ヶ月を超えて働く予定の人、令和6年10月からは事業所の規模が50人超で2ヶ月を超えて働く予定の人は新たにパートやアルバイト先の社会保険に加入することになります。
表1 健康保険・厚生年金の適用範囲
対象 | 要件 | 平成28年10月~ (現行) |
令和4年10月~ (改正) |
令和6年10月~ (改正) |
---|---|---|---|---|
短時間労働者 | 事業所の規模 | 常時500人超 | 常時100人超 | 常時50人超 |
労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 | |||
賃金 | 月額8万8000円以上 | |||
勤務期間 | 継続して1年以上使用される見込み | 継続して2ヶ月を超えて使用される見込み | ||
適用除外 | 学生 |
※筆者作成
社会保険加入のメリットとデメリット
パートやアルバイトで働く人が新たに社会保険に加入することになれば、毎月の給料から社会保険料が引かれるので手取りが減るというデメリットがあります。その一方で、厚生年金に加入することになりますので、将来的に自分の厚生年金を受け取ることになり、年金の受取額が増えるというメリットもあります。
社会保険への加入を避けるため、扶養範囲の上限を超えないように収入を抑える人もいるとは思いますが、扶養範囲の上限を超えて働くことができれば、毎月の収入をさらに増やすことができ、手取りを増やすことも可能となります。現在パートやアルバイトで働いている人は、今後どのような働き方をするか、令和4年10月の改正前までに考えておきましょう。
出典
日本年金機構
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント