海外で入院・・『もしも』は起こると考える。海外の医療保険(第3話)

配信日: 2018.01.28 更新日: 2021.01.07

この記事は約 3 分で読めます。
海外で入院・・『もしも』は起こると考える。海外の医療保険(第3話)
筆者の二回の入院にまつわる費用のご紹介から、海外での医療費のインフレのお話をさせて頂き、海外生活をする『外国人』として、筆者自身が医療費負担リスクをどのようにコントロールしているかのお話を第一回目から、前回は『外国人』としての医療費負担リスクのオプションと、メリット及び注意点などのお話しました。第3回目の今回は、FP目線で一番手堅いのではないかと思うリスク回避法をご紹介します。
田中ゆき恵

Text:田中ゆき恵(たなか ゆきえ)

イギリスCII AFP

アメリカパブリックアイビー、The University of Michigan, Ann Arborを卒業後、マレーシアを本社にもつイギリス系IFA、Infinity Financial SolutionsにてシニアコンサルタントとしてFP歴10年以上のキャリアを持つ。バンコク、ジャカルタ、クアラルンプールを中心に、海外居住者のために、財テクゲームを取り入れたお金セミナーを実施。海外居住中のへそくり術、教育資金のため方、老後資金準備法、相続対策などを得意としており、わかりやすさと包括的なアドバイスをモットーに活動中。各地の日本人向けフリーペーパーなどでも執筆協力している。
https://www.facebook.com/InfinitySolutionsJapaneseService/

手堅い医療保険活用術とは?

海外在住FP歴13年ほどとなる筆者が考えるに、各種の海外居住者の皆さんの一番手堅い医療保険活用術は、海外の一般医療保険と国民健康保険の合わせ技です。一般の医療保険は、『入院時パッケージ』と『外来パッケージ』に別れていて、大元はこの『入院時パッケージ』の方です。これに外来パッケージをオプションで付けるかどうか(歯科と眼科もオプション)という設定です。
 
入院時パッケージには一般的に次のようなカバーがついていますが、それぞれ上限額があります。
 
—お部屋&食事代
—入院時雑費(包帯などドレッシング系、諸検査など)
—ナース
—医師回診
—手術台利用
—術師
—麻酔&麻酔師
—ICU(集中治療室)
—妊娠(保険会社によって有無あり・あっても初年度は待機期間がある場合が多い)
—緊急避難(僻地で治療ができない場合、近い病院に緊急避難して治療を受ける)
 
外来カバーに関しては、フルカバーのタイプだと『外来手術』のカバーや、透析や肝セラピーもカバーできるものもあり安心ではありますが、保険料をコントロールするために『付けない』選択肢もあります。
 
タイの保険会社で、入院と外来の全てを病院の請求額通り支払ってくれる、『フルカバー』のプランだと、年間の保険料が35歳女性で約12万円くらい、43歳くらいの男性で13万円くらい。外来カバーを外すと20%ほど保険料が安くなります。65歳以上の新規加入はできないので、それより前の世代には検討の価値はあるのではないでしょうか。
 
現地保険の中には、『緊急時の海外での医療費負担』が付いた、『国際保健』もあります。例えば、タイ在住の方が、日本一時帰国中交通事故に遭って治療が必要になったとしましょう。
 
タイを出国して3ヶ月以内の治療であれば、日本での費用を立て替えた上で、診断書(英文)とオリジナルのレシートを保険会社に提出すれば、費用を払い戻してくれるという意味です。また、15万円以上の請求額の場合、保険会社に連絡をすると、『インターナショナルSOS』という機関に病院との直接決済を依頼してくれるサービスもあります。
 
妊娠保障もついたタイプだと、家族が増える可能性がある場合も安心なので、現地就職組や、起業組、そして移住組で若い世代は利用価値が高い内容ではないでしょうか。
 

海外居住者が増えていくこれから

ロングステイヤーの方は、加入時既に既往症がある場合も考えると、国保をキープするのは必然です。特に前述の通り、65歳以上の方の場合、現地保険への新規加入も難しい事が多いので、国保キープでの渡航の方が安心でしょう。
 
ワーホリや留学組は、滞在期間が短い(一年程度)場合であれば、旅行者保険に加入していれば、ひとまずの安心は確保できるでしょう。
 
外務省領事局政策課が作成している『海外在留邦人数調査統計』によると、平成29年(2016年)10月1日の集計で、日本領土外に在留する邦人総数は、前年から1.6%の増加、統計開始の昭和43年以降最多の133万8,477人と報告されています。その内、3ヶ月以上の『長期滞在者』は全体の約65%を占め、前年比1.2%増という事で、海外居住者が増えていることがわかります。
出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000260884.pdf
 
日本は社会保障制度が整っていますが、いざ外に出る場合は、ご自身やご家族のためにも、怪我や病気のリスクに加え、自己負担リスクや一時負担リスクも考え、いざという時に『やっててよかった』と思える準備を心がけてください。
 
Text:田中ゆき恵(たなか・ゆきえ)
イギリスCII Award in Financial Planning認定者
Infinity Financial Solutions シニアコンサルタント

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集