現役世代の保険の見直しに必要なのは「万が一」ではない?

配信日: 2021.07.08

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現役世代の保険の見直しに必要なのは「万が一」ではない?
生命保険文化センターのホームページに掲載されている『介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?(※1)』を見ると、介護保険第二号被保険者に該当する40~64歳では世代人口の0.4%となっています。
 
その一方で、65歳以上の、いわば介護保険第一号被保険者の65~69歳でも同2.9%となっています。
 
このような数字を見ると、「現役世代の民間商品による介護保障は不要」と考える方もいらっしゃるかもしれません。果たして、どうなのでしょうか?
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

85歳以上の方で、要支援・要介護認定者は6割近く

上記の同じ統計で、85歳以上というくくりで見ると、その割合は59.3%と、ほぼ6割近くの方が要支援・要介護認定者となっています。
 
このデータを見ると、「民間商品による介護保障を検討するなら、現役世代ではなく年をとってから」という考え方も出てくるかもしれません。
 
ここで、同じく生命保険文化センターのホームページに掲載されている『万一の恐れは、どれくらいの割合である?(※2)』というページを見てみましょう。
 
分母を1000人とした、5歳刻みの男女別・年齢別の死亡者数が載っています。例えば、40歳を見ると、男性0.93人、女性0.56人、同じく65歳のそれを見ると、男性9.24人、女性4.07人となっています。
 
これらの数字をパーセントにすると、40歳の男性で0.0093%、40歳の女性で0.0056%、また65歳の男性では0.924%、65歳の女性で0.407%ということになります。
 
現役世代が保険の加入や見直しを検討するとき、生命保険すなわち死亡保障についても検討されることが多いかと思います。
 
しかし、上記生命保険文化センター統計の数値を見る限り、現役世代における介護保障と死亡保障、どちらのリスクが高いかといえば、介護保障であるといえるのかもしれません。
 

「万が一」と「介護が必要になった」……それぞれリスクが現実化したときに考えられるは?

家庭の稼ぎ手に「万が一」のことがあれば、その時点で収入が途絶えることになります。しかし、同時に要件を満たす遺族には、遺族年金を受け取る権利が生じ、また家計においては、お亡くなりになった方の生活費の分が減ることも想定されます。
 
では、家庭の稼ぎ手に「介護が必要になった」場合は、いかがでしょうか?収入が減少するか、途絶えてしまう可能性も否めないでしょう。しかし、同時に所定の要件に該当すれば、障害年金を受け取ることができるかもしれません。
 
しかし、「万が一」とは異なり、家族の人数に変化がないので、生活費に大きな変化が起こるとは考えにくいです。加えて、介護やリハビリなどの費用が加わることも考えられます。
 

まとめに代えて……現役世代が備えるべきは?

介護保険法が施行され、早くも21年を過ぎました。街中では、介護施設や訪問介護ステーションなどを当たり前のように見かけます。そして、それらを利用している、その多くは高齢者です。
 
そうした街の風景を見ても「民間商品による介護保障を検討するなら、年をとってから」という認識になる方がいてもおかしくはありません。
 
しかし、上記のような統計データを見たり、家庭の稼ぎ手に「万が一」や「介護が必要になった」場合のことに想像を巡らせたりすると、現役世代が備えるべきは「万が一」よりも「介護が必要になったとき」という考えも1つの選択肢といえます。
 
あるいは、上記の2つの統計から、「大半の方が元気に老後を迎えることになる」と考え、死亡保障を検討されるのもよいでしょう。
 
現役世代が備えるべきことや保険内容に決まりはありません。自身や家族の考え、家庭環境を鑑みながら考慮していきましょう。
 
出典
(※1)生命保険文化センター「介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?」
(※2)生命保険文化センター「万一の恐れは、どれくらいの割合である?」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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