更新日: 2021.07.09 その他保険
要介護・要支援認定者数はこの20年で3倍に…人数の推移状況とは
少子高齢化により今後もさらなる増加が見込まれており、介護保険制度は持続していくことができるのでしょうか? 要介護・要支援認定者の現状を確認してみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
10年で100万人増も要介護5だけは減っている
介護保険制度は2000年(平成12年)に開始したので、開始から21年がたちました。その間、要介護・要支援認定者は増え続けています。どのくらい増えているのか、厚生労働省の介護保険事業状況報告(※)で認定区分ごとに確認してみました。下記のグラフは2000年~2020年までが各年4月末現在の第1号被保険者数を、2021年のみ2月末現在の第1号被保険者数を使用して作成しています。
要介護・要支援の認定区分は要支援1~2と要介護1~5の7区分です。2000年~2005年は要支援1と2に分かれていないため、グラフでは要支援1に入れてあります。2006年~2008年には計画的要介護がありましたが、2009年以降は今の7区分となっています。
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告月報(暫定版)」平成12年4月分~令和3年2月分
要介護・要支援認定者数は2021年2月末現在で666万人(第1号被保険者のみ)に達しています。過去と比較すると、2000年が218万人なので開始以来3倍に増え、2003年(336万人)から18年間で2倍に増え、2013年(564万人)から8年間で100万人増えています。
各年4月末(2021年のみ2月末)の認定者数では21年間連続で増加中です。この間、第1号被保険者(65歳以上)の数も2165万人から3576万人へ21年間連続増加中なので、特に驚くことではないのかもしれません。
しかし、第1号被保険者に占める要介護・要支援認定者数は、2000年の10.1%から2021年には18.6%へ上がっています。第1号被保険者の中でも高齢層の人数が増えていることが大きく影響していると考えられます。
認定区分ごとに見ても認定者数は増え続けていますが、要介護5だけは状況が異なり、2013年時点の61万2113人が最も多く、その後は減少に転じ2021年は56万9065人まで減っています。
要介護1が137万人で最も多い
次に要介護・要支援認定者666万人の内訳を確認し、グラフにしてみました。
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」令和3年2月分
グラフを見てわかるとおり、認定区分ごとの人数は比較的分散しています。認定者数が最も多いのは要介護1の137万人で認定者の20.6%、次が要介護2の113万人(17.1%)、その次が要支援1の94万人(14.2%)で、最も少ないのは要介護5の56万人(8.5%)となっています。第1号被保険者(65歳以上)に対する割合は要介護1が3.8%、要介護5が1.6%となっています。
民間の介護保険で備えるときのポイント
介護保険制度があることで、介護が必要になったときには自己負担をかなり抑えて介護サービス等を利用できます。それでも不安を感じる人は生命保険会社等の介護保険に加入して備える方法もあります。
昨今はどれを選べば良いか悩むほど保険商品が登場しています。選ぶポイントとして、要介護(要支援)いくつ以上に認定されたら介護給付金を受け取れるかを十分に確認しておきたいところです。
例えば、給付金を受け取れる要件が、要介護3以上の場合と要介護2以上の場合では、受け取れる可能性(確率)が異なります。直近の認定者数で計算すると下記のようになります。
(厚生労働省「介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」令和3年2月分から筆者が計算)
現在要介護3以上の認定者は227万人で、第1号被保険者に占める割合は6.4%です。要介護2以上だと認定者数は341万人へ増え、割合も9.6%に高まります。給付金を受け取ることだけを考えれば、要支援1以上に認定されたら受け取れる保険商品が最も魅力的です。しかし、支払う保険料も当然異なり、基本的に給付金を受け取りやすいほど保険料は高くなります。
将来確率どおりに介護認定を受けるとも限りません。自分がどの状態になったときに一番経済的なサポートを受けたいか考え、確率だけでなく保障内容と保険料のバランスも考慮して最終的な決断をするとよいでしょう。
出典
(※)厚生労働省「介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者