クレジットカード会社・銀行からの無料保険プランについて
配信日: 2021.08.07
この記事では、なぜ無料プランが成り立つのか、また、それには加入する意味があるのかについて説明したいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
無料プランの内容
クレジットカード会社や銀行から送られてくる「無料プラン」は、大体以下のようなものです。
1. 25万円の死亡補償(交通事故傷害保険)に2年間加入できる。
2. 交通事故などで5日以上入院された場合、入院一時金として3万円を受け取れる。補償期間は加入から5年間。
ここで気を付けなくてはいけないのは、「交通事故傷害保険による死亡補償」または「交通事故などで5日間以上入院された場合」という限定が付いていることです。
例えば、ダイレクトメールに「入院補償 5年間無料進呈」と大きく表示されている場合もあるので、「病気やけがで入院したときも無料で補償してくれるのか、それは悪くないな」と思ってしまいます。
無料プランは「交通事故によるけがや死亡」に限定されていることに注意
このような無料プランは「交通事故によるけがや死亡」に限定されていることに注意する必要があります。
「交通事故によるけがや死亡」とは、単に歩行中に自動車にぶつけられた場合だけではなく、自動車に乗っていて事故に遭った場合、自転車やバイクに乗っていて転倒した場合に加えて、電車の火災や脱線による場合、駅の階段やホームでの転倒や転落なども含まれます。
そう考えると、それほど限定されているわけではないのですが、一般的な傷害事故や死亡事故を含んでいるわけではありません。一般的な傷害事故であれば、歩行中に転んでケガをした、家の階段や風呂場でつまずいてけがをした、スポーツをやっていてけがをしたという場合も含まれます。
また、一般的な死亡事故であれば病気による死亡のほか、上記に挙げた歩行中や家の中での転倒、スポーツ中の事故で不幸にして死亡してしまう場合も含まれます。
事故の原因を交通事故に限定することにより、事故の発生の確率が低くなるので、保険会社としてのリスクも費用も小さくなります。そうした保険を無料プランで提供しても、後に続く有料プランに呼び込むための宣伝費用と考えれば、それでよいということでしょう。
加えて、無料プランは保険金自体を低く抑えています。死亡事故の場合で25万円、5日以上入院した場合で3万円なので、もし事故が発生しても保険会社は大きな金額を支払うわけではありません。
契約者=皆さまの立場からすれば無料だから損をすることはないが、事故の発生の確率はあまり高くないので、契約者から見たニーズはそれほど大きくないということになります。
無料プランへは、どう対応すべきか?
では、契約者として無料プランへはどう対応すべきでしょうか?
1. 補償の範囲も保険金も極めて限定されたものであることをきちんと理解する。
2. その上で少しでも役に立つのであれば加入する。そうでないならやめる。
例えば、普通傷害保険に加入されている方であれば、無料プランを上回る死亡保険金や入院保険金が準備されているので、無料プランに入る必要はありません。
また、無料プランに入った場合でも死亡補償で25万円、5日以上入院した場合で3万円という規模なので、保険として大きく役に立つわけではありません。
3. 自分のニーズを見極めないで無料プランに入ってしまっても、なんとなく勢いで、その後に待ち構える有料プランにも加入することは避ける。
まとめ
無料プランであれ、有料プランであれ、保険に入る場合は自分自身のニーズと、現在加入している保険があれば、その内容をチェックした上で入るかどうか決める必要があります。
それらを確かめもせずに、漫然と保険に入ることは避けるようにしましょう。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー