値上がり予定の火災保険、見直しの際のポイントとは?
配信日: 2021.10.07
そもそも火災保険はどうして値上げされてしまうのでしょうか? また、火災保険を見直しするときには、どのようなことに注意して見直しするべきなのでしょうか?
すでに火災保険に加入している人も、新たに加入を考えている人もポイントを押さえて、無駄なく保険に加入しましょう。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
自然災害が多いと火災保険料は値上げされる?
火災保険というと、火災が発生したときに補償されるものと思っている人もいらっしゃるのですが、火災保険は、火災だけでなく、台風や豪雨、土砂崩れなど、地震による被害を除いた自然災害が発生したときにも補償される保険です。
ここ2~3年は、日本各地で自然災害が発生していますので、被害に遭われた方のなかには、火災保険に加入していて保険金を受け取ったという方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも火災保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」などの料率算出団体が定めた「参考純率」が目安となっています。そして、この「参考純率」は毎年、適正な利率になっているかを見直ししています。
保険会社は集めた保険料をベース運用しながら保険金を支払うのですが、自然災害が多発して、保険金の支払いが多くなれば、必然的に集める保険料を増やさなければならなくなります。
つまり今のタイミングは、保険料の見直しをせざるを得ない状況になっていると考えられています。保険料の値上げは、各社の準備や周知期間などを考え、来年度以降になる見通しです。
火災保険の見直しのポイント
例えば、「住宅ローンでまとめて一気に35年分保険に加入している」という人もいるかもしれませんが、毎年、1年分の保険料を支払っている、もしくは毎月、口座から引き落として支払っている人もいることでしょう。
保険は、長期契約にすると割引率が高くなります。毎月払いよりも年払い、年払いよりもまとまった年数をまとめて支払ったほうが保険料を抑えることができます。自分が加入している火災保険料をどのように支払っているのか確認し、できるだけ長期契約にするとよいでしょう。
また、火災保険は中途解約することができます。もし、来年度中に契約期間が終わり、1~2年後に終了するのなら、中途解約をして、新たに長期契約を結んでもよいでしょう。中途解約をした残りの期間の保険料は返還してもらえます。
見直しをするときには、補償内容は十分か、他社と比べて保険料は高いのか安いのかなどを確認し、必ず複数の会社の商品を横並びで比べて、より自分に合った補償内容なのかをチェックするようにしてください。
火災保険の見直しのタイミング
火災保険の見直しのタイミングとなるのは、例えば保険料が値上げになるタイミングや家族構成が変わったときなどがあります。
~主な火災保険の見直しのタイミング~
・保険料が値上げされるとき
・マイホームを購入したとき
・マイホームをリフォームしたとき
・賃貸住宅を契約したとき
・家族構成が変わったとき
・火災保険の更新のお知らせが届いたとき
などでこのなかで忘れてしまいがちなのが、リフォームをしたときです。自分では保険料がどのくらい変わるのか分からないと思います。火災保険の担当者に連絡をし、新たに見積もりを作成してもらいましょう。
再調達価額で加入する
火災保険には、再調達価額と時価額があります。再調達価額とは、損害が発生したときの発生した場所における保険の対象と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得するのに必要な金額をいいます。
そのため、再調達価額で火災保険に加入すると、何年たった建物であっても、その家を最初に造ったときと同じように元通りにできるだけの保険金を受け取ることができます。
一方、時価額とは、再調達価額から「使用による消耗分」を差し引いた金額をいいます。そのため、時価額で火災保険に加入すると、そのときの時価の分のみ保険金として受け取ることになります。
火災保険に加入するときには、再調達価額で加入することが必須です。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト