副業したときの社会保険はどうなるの?

配信日: 2021.11.02

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副業したときの社会保険はどうなるの?
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の総称です。健康保険は病気になった時やけがをして病院に行って治療してもらったときに役立ちます。厚生年金保険は老後の生活資金としても大切ですが、さらに傷病給付や遺族給付もあります。
 
この2つの保険料は、会社に勤めているときには給料から社会保険料として天引きされていますが、これは本来の保険料額の半分で残りの半分は勤めている会社が支払ってくれています。こんな大事な社会保険は副業をしている場合には加入できるのか心配ですね。どうなるかを見ていきましょう。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

社会保険の適用要件を満たすのかどうか

社会保険(厚生年金保険および健康保険)の適用要件(加入できるかどうか)は、それぞれの勤務している会社(事業所)ごとに判断します。
 
複数の雇用関係に基づいて複数の会社で勤務する方が、いずれの会社においても適用要件を満たさない場合、労働時間等を合算して適用要件を満たしたとしても、残念ながら適用されません。
 
また、同時に複数の会社で就労している方が、それぞれの会社で被保険者要件を満たす場合、その方(被保険者)は、いずれかの会社を管轄する年金事務所および医療保険者(健康保険組合か協会けんぽ)を選択します。
 
その選択された年金事務所および医療保険者において各会社での報酬月額(給料)を合算して、標準報酬月額を算定し、保険料を決定することとなります。その上で、各会社は、被保険者に支払う報酬の額により案分した保険料を、選択した年金事務所に納付(健康保険の場合は、選択した医療保険者等に納付)します。
 
当然ですが、片方の会社だけで適用された場合は、その会社の社会保険の被保険者になります。
 

社会保険の適用要件

社会保険(厚生年金保険および健康保険)の適用要件は、以下のとおりです。
 

1.事業所単位(勤めている会社ごと)で適用されます。

強制適用事業所と任意適用事業所に分かれます。
 
(1)強制適用事業所
社会保険の適用事業所となるのは、国または法人の事業所です。また、定められた事業を行い、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、一部を除いて社会保険の適用事業所となります。
 
(2)任意適用事業所
上記(1)の適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が社会保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。働いている人は全員が加入することになります。
 

2.被保険者について

上記1.で説明した適用事業所(社会保険に加入している会社、工場、商店、船舶など)に「常時使用される」方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、社会保険の被保険者となります(厚生年金保険の被保険者は70歳まで)。
 
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。
 
(出典:日本年金機構「適用事務所と被保険者」(※))
 

短時間労働者の場合

パートタイマー・アルバイト等の短時間労働者でも「常時使用される」方は、被保険者です。1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ会社で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方も対象です。
 
また、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合でも、次の5要件をすべて満たす方は被保険者です。
 

(1)週の所定労働時間が20時間以上あること
(2)雇用期間が1年以上見込まれること
(3)賃金の月額が8.8万円以上であること
(4)学生でないこと
(5)常時従業員501人以上の会社に勤務していること

 
「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第40号)が令和2年5月に成立し、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大につて、令和4年10月に被保険者の総数が常時100人超規模、令和6年10月に同50人超規模の企業まで適用範囲を拡大することとなりました。これにより新たに適用される方が増える見込みです。
 
(※)
日本年金機構「適用事務所と被保険者」
 
(参考)
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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