国民健康保険税と国民健康保険料の違いとは?
配信日: 2021.11.23
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
給付の内容に違いはない
国民健康保険において、毎月納めているのが国民健康保険料でも国民健康保険税でも、給付の内容に違いはありません。病院などの窓口で納めるのは原則3割負担であるという点はもちろん、75歳になったら国民健康保険を脱退して、後期高齢者医療制度に加入するのも同じです。
保険料もしくは保険税の上限も同じ
受け取る方の給付の内容が同じなら、払う保険料もしくは保険税の金額の上限(賦課限度額)は、どちらも同じ金額の99万円です。
では、いったい何が異なるのでしょうか?
■過去にさかのぼって、保険料もしくは保険税の額を再計算する場合
過去にさかのぼって国民健康保険の保険料もしくは保険税を再計算する場合、さかのぼることができるのは、保険料は原則として2年前まで、保険税は原則3年前までです。
例えば、所得税の還付申告は翌年から5年間、確定申告書を提出できます。そして、還付申告の手続きによって所得税や住民税の金額が変わってきますが、国民健康保険の保険料もしくは保険税の金額も変わってきます。
しかし、国民健康保険の保険料もしくは保険税の金額が過去にさかのぼって変わるのは、保険料で原則として2年前まで、保険税で原則3年前まで、ということになります。
■滞納している保険料もしくは保険税を、過去にさかのぼって徴収する期間
国民健康保険の保険料もしくは保険税を滞納してしまっている、という方がいらっしゃるかもしれません。滞納した保険料もしくは保険税を、過去にさかのぼって徴収することができる期間も異なります。保険料で2年間分、保険税で5年間分です。
なお、滞納とは逆に納め過ぎた保険料もしくは保険税を返してもらう、つまり還付の期間も異なります。保険料で2年間分、保険税で5年間分です。
■根拠となる法律の違い
国民健康保険の保険料もしくは保険税は根拠となる法律も異なります。保険料は国税徴収法、保険税は地方税法です。
まとめに代えて
会社員が加入する組合健保など、あるいは公務員が加入する各種共済組合、そのどちらも給料からの天引きです。しかし、国民健康保険は、納付書を持って金融機関やコンビニ等で保険料か保険税を納めるか、銀行引き落としです。
長引くコロナ禍、生活が苦しく納付が難しいとおっしゃる相談者さまもいらっしゃいます。納付が難しいと感じたら、早めに相談に行きましょう。
(参考・引用)
神戸市「保険料の賦課決定・変更の期間制限について」
福生市 ホームページ
国税庁「第2条関係 定義/1 徴収法に規定する滞納処分の例による滞納処分」
鴻巣市 ホームページ
守谷市 ホームページ
千代田町 ホームページ
横浜市 ホームページ
江東区「保険料を滞納すると」
厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」(令和元年10月31日)
国税庁「No.2035 還付申告ができる期間と提出先」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役