更新日: 2021.12.15 保険

令和4年1月1日に改正になる傷病手当金。変更点と申請する際の注意点は?

執筆者 : 當舎緑

令和4年1月1日に改正になる傷病手当金。変更点と申請する際の注意点は?
病気やけがになった時、会社を休もうかどうしようか、有給を使えばよいのか、病気休暇は使えるのか、悩む方は多いものです。特に昨年以降の新型コロナウイルスの影響下では、無理して出勤することができなくなっています。労働者自身も会社側も悩むことの多い日が続いているかと思います。
 
今回は病気になった時に頼りになる傷病手当金の改正についてみていきましょう。
 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

傷病手当金って何?

傷病手当金は、病気やけがをした時に、勤務先で健康保険に加入している方が、給料の補てんとして支給される保険給付です。「勤務先」といいましたが、個人事業主などフリーランスで国民健康保険に自分で加入している方については対象外です。この傷病手当金を請求するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

(1) 業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
(2) 仕事に就くことができないこと
(3) 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

ただ、これ以外に細かい要件もあります。今回の新型コロナウイルスのように、「労務不能である」という病院の証明が取れない時など証明すること自体が困難となったため、傷病手当金の請求をあきらめ、単に有給休暇を取得したということもあったかもしれません。
 
傷病手当金は、支給開始日から最大1年6ヶ月という給付期間があるため、1つの病名で長期の療養が必要でない場合には、いったん請求すると、短期間の療養ではもったいないという問題もありました。
 

傷病手当金はどう変わる?

前段で、支給開始日より最大1年6ヶ月ということが、支給開始日から「通算して1年6ヶ月」になるということがもっとも大きな改正点です。これまで、がんなどの病気のように、「入院して手術をしたものの、あとは定期的な通院」というケースであれば、出勤するとその分が支給されないという問題点がありました。
 
今回の改正は、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6ヶ月を超えても、繰り越して支給可能になるのです。
 
この改正は、令和4年1月1日から施行されます。注意点ですが、令和4年1月1日以降の傷病手当金を請求した人から改正になるのではありません。令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6ヶ月を経過していない傷病手当金(令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金)が対象です。
 

傷病手当金を利用する場合に覚えておきたい注意点とは

これまでの問題点が一気に改善されたような今回の改正ですが、いくつか注意点もありますので言及しておきます。
 
協会けんぽのホームページでは、いくつかの通達やQ&Aも公開されていますが、傷病手当金は業務外の疾病、けがにより最大1年6ヶ月保険給付がされますが、それはそれぞれの疾病、けがごとに通算されます。けがの場合あまり考えられませんが、疾病の場合、障害年金など、1つの病気から複数の給付を受け取れるということも考えられます。
 
また、ある病気の時にさらにほかの病気が発症するということもあるかもしれません。その時の参考として、以下のような通達をご紹介しておきます。
 

労務不能のため傷病手当金の申請を行ったが、報酬や障害年金等との併給調整により、傷病手当金が不支給とされた場合、支給期間は減少するのか。

(回答)

○ 報酬、障害年金または出産手当金等との併給調整により、傷病手当金が不支給とされた期間については、傷病手当金の支給期間は減少しない。
○ 一方、報酬、障害年金または出産手当金等の額が傷病手当金の支給額を下回るために傷病手当金の一部が支給される場合には、支給期間は減少する。
○ なお、出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたことにより、出産手当金の内払とみなされた場合には、支給期間は減少する。

 

複数の疾病等について、同じ期間に傷病手当金の支給が行われる場合、支給期間についてはどのような取り扱いとなるのか。

(回答)

○ 傷病手当金については、疾病等ごとに支給期間が決定し、複数の疾病について、同じ期間に傷病手当金の支給が行われる場合、各々の疾病等について、それぞれ傷病手当金が支給されると解する。
○ このため、傷病手当金が支給された日数分だけ、各々の疾病等に関わる支給期間は減少することとなる。

 

A疾病による傷病手当金がA疾病による障害年金との併給調整により支給停止されている者が、別のB疾病による傷病手当金を新たに受給できることになった場合、支給期間については、どのような取り扱いとなるのか。

(回答)

○ B疾病による傷病手当金はA疾病による傷病手当金とは別の給付となるため、支給期間はB疾病に関わる支給期間のみ減少することとなる。

 

報酬や障害年金等との併給調整により、傷病手当金が不支給となった期間について、健康保険組合の規約により、傷病手当金付加金のみ支給される場合に傷病手当金の支給期間については、どのような取り扱いとなるのか。

(回答)

○ 傷病手当金が不支給となった期間に傷病手当金付加金のみ支給されても、傷病手当金の支給期間は減少しない。

 
(厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」(※)より引用)
 
上記の文章はあくまでも引用したものです。それでもわかりにくいかもしれません。
 
要約すると、同じ理由で複数の給付が受け取れるときには、それぞれの窓口に調整が必要かどうか確認をする、特に協会けんぽでなく、独自の健康保険組合に加入している方は、さらに組合独自のルールがありますので、思い込みをすることなく、不明な点があればしっかりと確認をすることが大事だといえるでしょう。
 
出典
(※)厚生労働省「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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