更新日: 2022.01.04 その他保険

段階的に拡大されるパート・アルバイトの保障制度。対象となる人はどんな人?

段階的に拡大されるパート・アルバイトの保障制度。対象となる人はどんな人?
近年、働き方が多様化し、正社員以外の労働者であるパートやアルバイトの数は労働者全体の約3割近くを占めるようになってきました。2021年10月分の労働力調査では、役員を除く雇用者が5636万人のうち、パート(1021万人)とアルバイト(431万人)の合計は1452万人(25.7%)となっています。
 
今回は、こういった労働者の約3割近くを占めるパート・アルバイトの社会保険(年金・医療保険)の適用が段階的に拡大されることになったので、その内容について解説したいと思います。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

社会保険適用対象の拡大

(1)事業所における従業員数
以下のように段階的に対象となる事業所が拡大されます。

 現在 : 501人以上
 2022年10月〜 : 101人以上
 2024年10月〜 :  51人以上

(2)週の労働時間が20時間以上
(3)月額賃金が8.8万円以上
(4)2ヶ月を超える雇用見込みがある
(5)学生ではない

 

拡大される制度

(1)年金
従来基礎年金だけだったものが、厚生年金も受け取ることができます。以下の年金がいわゆる“2階建て”になり一生涯受け取れます。
 

1.老齢年金

受給資格期間を満たした方で、65歳以上の方が受け取ることができる年金です。老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金も受け取ることができます。以下の表は、2階建て部分、すなわち老齢厚生年金が年間給与によってどれくらい増えるかの目安金額を示したものです。
 

 

2.障害年金

病気やけがなどで障害状態と認定された場合に支給される年金です。2階建てになるだけでなく、保障の範囲も広がります。具体的には、障害の程度が3級やそれより軽い一定の障害の場合、国民年金だと障害年金の支給が受けられませんが、障害厚生年金または障害手当金(一時金)の支給を受けることができます。
 

3.遺族年金

被保険者が亡くなったときに、残された遺族に対して支給される年金です。遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金を受け取ることができます。
 

医療保険

1.傷病手当金

健康保険に加入していると、業務外の事由による療養のために働くことができないときは、その働くことができなくなった日から起算して3日を経過した日から働くことができない期間(最長1年6ヶ月間)、傷病手当金(給与の2/3相当)を受け取ることができます。
 

2.出産手当金

健康保険に加入していると、被保険者が出産のために会社を休み、報酬が受けられないときに、産前42日・産後56日までの間、出産手当金(給与の2/3相当)を受け取ることができます。
 

保険料がどう変わるか

保障の拡大に伴い、これまで支払っていた国民年金・国民健康保険料が、厚生年金保険料・健康保険料に代わり、保険料の半分は会社負担となります。
 
例えば、年収106万円(月額8.8万円)だと、従来は1万9100円/月払っていたものが、2万5000円/月となります。
 
が、その半額が会社負担になるので、実質的な負担は1万2500円です。したがって、従来よりも6600円負担が少なくなり、しかも上記で見てきたように年金と医療保険が充実します。
 
なお、ご自身の年金の仕組みや年金額を調べたい人は、ねんきんネットや年金ポータルで調べるか、もしくは所属する会社の年金担当者に確認すると良いでしょう。
 
(出典)
総務省統計局「労働力調査(基本集計)」
厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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