民間医療保険に加入する前に知っておきたい3つのポイント
配信日: 2018.02.27 更新日: 2019.01.10
用語の使い方に保険会社独自のルールがあります。これを知らないと、給付金を受け取れると思ったのに、受け取れないという事態になりかねません。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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入院の意味
入院給付金には、1入院あたりの支払限度日数があります。1入院支払限度日数は、30日、60日、120日、180日、360日、365日、730日等さまざまです。厚生労働省の「平成26年 患者調査」によると、退院患者の平均在院日数は31.9日となっています。
傷病別にみると、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が546.1日と一番長く、続いて「血管性及び詳細不明の認知症」が376.5日、「アルツハイマー病」が266.3日となっています。
入院日数は短期化傾向にあるので、1入院支払限度日数は30日、60日タイプを選択している人が多いのではないでしょうか。
さて、医療保険でいう1入院は、入院の回数とはイコールではありません。たとえば、30日間入院して、退院し160日後に同じ病気で30日入院したとしましょう。入院の回数は2回ですが、医療保険では1入院と見なします。
つまり、一般的に、1入院とは「同じ病気」が原因で180日以内に再入院した場合は、前回の入院と合わせて、「1入院」として扱われます。
したがって、上記のケースでは1入院支払限度日数30日タイプであれば、30日分の入院給付金しか支払われません。仮に「異なる病気」で再入院したのであれば、60日分の入院給付金を受け取ることができます。
なお、保険会社によっては、再入院の原因が「異なる病気」であっても、180日以内の入院は「1入院」として取り扱う医療保険もありますので、注意してください。
日帰り入院ってなに?
入院何日目から入院給付金をもらえるかについて、日帰り入院型、1泊2日型、5日型などさまざまです。このなかで、一番わかりにくいのが日帰り入院型ではないでしょうか。
日帰り入院とは、入院日と退院日が同じ日の入院をいいます。その日に帰るという点では、通院と似ていますが、日帰り入院の場合は、病院等が発行する領収書の入院等の欄に診療報酬点数があります。
手術の意味
手術給付金の対象となる手術には、次の3タイプがあります。
(1)公的医療保険の対象となる手術を保障するタイプ(最近の医療保険に多い)
(2)88種類の所定の手術を保障するタイプ
(3)両者の併用タイプ
いずれのタイプも、治療を目的としない場合の手術は給付対象とはなりません。例えば、診断・検査や美容整形などです。
88種類の所定の手術を保障するタイプは、約款に記載されている88種類の手術に限定していますので、それ以外の手術は給付金の対象となりません。88種というと少ないと思われるかもしれませんが、消化器の手術といった大きな分類に基づく数です。
公的医療保険の対象となる手術を保障するタイプと比べて、対象となる手術が極端に少ないというわけではありません。なお、所定の新生物根治放射線照射(50グレイ以上の照射)は給付の対象ですので、該当する人は請求漏れのないようにしましょう。
公的医療保険の対象となる手術を保障するタイプの手術に該当するかどうかは、基本的に病院等の領収証の手術欄に診療報酬点数が記載されているかどうかで確認できます。先進医療(一部除く)も給付対象です。
ただし、保険会社によって公的医療保険の対象となる手術でも対象とならないものもありますので保険会社に確認してください。一般的には、抜歯手術や皮膚切開術(膿を出す施術)、創傷処理などは給付の対象外です。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。