更新日: 2022.02.16 保険

出産時の予期せぬ事態に備える「産科医療補償制度」

出産時の予期せぬ事態に備える「産科医療補償制度」
出産は女性にとって命がけ。初産婦の方はもちろん、経産婦の方でもさまざまな不安が伴うことでしょう。出産時に何が起こるかは誰にも予測できません。万が一の事態に備えて、「産科医療補償制度」というものがあります。
 
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

AFP認定者、宅地建物取引士、第一種証券外務員、内部管理責任者

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人・外国人を対象とした起業家支援。自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

産科医療補償制度導入の背景

いつの時代も出産は、出産する予定の女性にとっても周りの家族にとっても喜ばしいことですが、これだけ医学が発達している現在においても、出産時に予期せぬことが起こったことが原因で、新生児が重度脳性まひになってしまう場合があります。
 
そこで2009年1月から、分娩(ぶんべん)に関連して発生した重度脳性まひの子どもとその家族の経済的負担を補償するとともに、原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供するなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的として、産科医療補償制度が導入されました。
 

産科医療補償制度とは

補償申請ができる期間は、原則としてしては、脳性まひの正確な診断が可能な満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までですが、診断が可能であれば、生後6ヶ月からでも申請ができる場合があります。
 
ただし、生後6ヶ月未満で亡くなった場合は、対象外です。満5歳の誕生日が過ぎると補償申請ができなくなってしまうので注意が必要です。申請手続きには、通常3~4ヶ月程度を要します。
 
補償の対象となる子どもの基準ですが、次のとおりです。

1.出生体重が、1400g以上かつ32週以上で誕生、または妊娠28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たして誕生したこと
2. 先天性や新生児期の要因によらない脳性まひであること
3. 重度の脳性まひであること (身体障害者障害程度1、2級相当)

なお、本制度については見直しが行われ、2022年1月に生まれた子どもから、在胎週数の基準が32週以上から28週以上になり、低酸素状況の要件は廃止されました。補償対象額は、総額3000万円で、内訳は一時金600万円+分割金2400万円(毎年120万円×20年間)です。
 
実際に補償を受けるには、お産をした分娩機関が、制度に加入していることが前提です。2016年時点で制度に加入している分娩機関は99.9%で、ほとんどが加入していますが、制度に加入しているかどうか心配な場合は、分娩機関に問い合わせてみましょう。
 
実際に、補償を受けるために保護者が行う手続きは、大まかにいうと次のとおりです。

1. 脳性まひに関する専門知識を有する医師(※1)による診断書(産科医療補償制度専用)を取得します。
2. 1の診断書や補償認定依頼書などの書類をそろえて、お産をした分娩機関へ提出し、補償認定を申請します。

詳しくは、公益財団法人 日本医療機能評価機能のホームページでご確認ください。なお、審査結果が確定している2009年から2015年の審査件数は3523件で、そのうち補償対象となったのは2571件であり、約4分の3が補償対象となっています(※2)。
 
(※1)
脳性まひに関する専門的知識を有する医師とは、身体障害者福祉法第15条第1項の規定にもとづく障害区分「肢体不自由」の認定に係る小児の診療等を専門分野とする医師、または日本小児神経学会の定める小児神経専門医の認定を受けた医師
(※2)
公益財団法人 日本医療機能評価機構 「産科医療補償制度における審査の実施状況」(2022年1月19日更新)
 
(引用・一部抜粋:政府広報オンライン「お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」」)
 

まとめ

産科医療補償制度が導入されるまでは、分娩中に起こった何らかの原因により、新生児が重度脳性まひになってしまった場合は、訴訟を起こすしかありませんでした。
 
訴訟で争うのは、訴訟を起こす側にとっても訴訟される側にとっても時間がかかるだけでなく、精神的にも肉体的に相当な負担を強いられます。
 
産科医療補償制度により、訴訟によらず、新生児が分娩に関連して発症した重度脳性まひの補償の対象になれば、分娩機関側の過失を証明することなく、保護者に保証金が支払われるようになりました。
 
さらに、補償制度を申請すると、第三者である専門家で構成される委員会にて医療の妥当性が審議され、審査の結果が申請者と分娩機関に送られるので、申請者は分娩時にどのようなことが起こっていたかを知ることができきるようになりました。こうした点からみても、産科医療補償制度は画期的な制度といえるでしょう。
 
出典
公益財団法人日本医療機能評価機構 産科医療補償制度
公益財団法人 日本医療機能評価機構
厚生労働省 産科医療補償制度について
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、第一種証券外務員、内部管理責任者

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