生命保険の保険料の前納。メリットとデメリットは?

配信日: 2022.03.03

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生命保険の保険料の前納。メリットとデメリットは?
筆者は、投資で得た利益に手元の資金を足して、生命保険の保険料の前納を行いました。
 
投資で得た利益を次の投資に充てることも考えましたが、フリーランスという不安定さ、そしてコロナ禍を通じて学んだことを踏まえると、家計のランニングコストを減らしておかねばという思いが強まりました。
 
本稿では筆者自身の経験を基に、生命保険の保険料の前納について考えてみたいと思います。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

自身の家族のライフプランを見据えて保険料の前納の判断を

筆者はある生命保険会社にて、10年定期の生命保険を契約し、銀行引き落としによって生命保険の保険料を払っていました。
 
今回、その生命保険の残りの期間分の保険料を前納、つまり、将来の保険料をまとめて払いました。まとめて払う将来の保険料を「前納保険料」ともいいます。
 
保険会社に払った前納保険料は、直ちに保険料として充てられるわけではありません。前納保険料は、保険会社のほうでいったん預かり、もともとの払込期日(応答日)が来る都度、保険料に充てていくのです。
 
しかし、まだ保険料に充てられていないからといっても、返してもらうことはできません。解約するか、保険金を請求するか(筆者の場合は該当しませんが、満期金があれば、満期金を請求する)の、いずれかを行わない限り、前納保険料は返してもらえません。
 
なお、保険金額の減額は、一部解約にあたりますので、減額に相当する前納保険料を返してもらうことができます。
 
保険料を前納する場合は、ご自身はもちろん、ご家族のライフプランも見据えておく必要があります。
 

保険料の前納と税

先述のとおり、保険料を前納したとしても、実際には払込期日が来た時に保険料に充てていくので、保険料控除証明書は毎年届きます。
 
なお、同じく保険料をまとめて払う一時払い生命保険の場合は、保険料を払い込んだ年だけ、生命保険料控除の対象になります。これが前納保険料と一時払い保険料の大きな違いです。
 
先ほど、どのような時に前納保険料が返ってくるかを記載しましたが、返してもらうタイミングで課税が変わってきます。
 
保険金とともに返してもらう前納保険料は相続財産に該当しますので、相続税です。そこで、解約返戻金や満期金とともに前納保険料を受け取る場合には、一時所得に該当します。
 

保険料前納のメリットとデメリット

「前納保険料請求書」によると保険料の前納を行った期間中は、特約の中途付加などは行うことはできません。
 
保険料の前納ができるのは「2年分以上から」です。筆者は10年の定期生命保険の保険料の8年9ヶ月分を払い込みました。払い込んだうち、8年分は前納保険料として扱われましたが、9ヶ月分は「月払い保険料を、まとめて払った」だけにすぎません。
 
保険料を前納することで所定の割引(前納割引)があります。前納割引の割引率は0.04%です。また、前納積立という利息が付きます。
 
前納積立の利率も割引率と同じく0.04%です。前納積立に対する課税は、生命保険の配当金のそれと同様と考えられるのではないでしょうか? つまり、保険期間中の課税はなく、保険金(=相続税)、解約返戻金や満期金(=ともに一時所得)などの受取時に、前納積立も課税されます。
 
筆者は10年間の定期保険ですが、満期金はありません。もし、満期時に保険料に充てなかった前納積立があれば、受け取ることができます。
 

保険料の前納とクレジットカード払いとの比較

月払いもしくは年払いにして、クレジットカードで保険料を払うことも考えました。
 
筆者の場合、クレジットカードのポイント付与率は0.5%です。先ほどの前納割引や前納積立を併せても、クレジットカードのポイント付与率のほうが高いことが分かります。
 
クレジットカードのポイント付与率も魅力的ですが、少しでも家計のランニングコストを減らしたかったので、今回は保険料の前納を選びました。
 
生命保険料の前納をお考えの方は、ご自身の家庭環境や家計状況などを考慮し、慎重に検討すると良いでしょう。
 
(出典)
国税庁 生命保険金とともに払い戻しを受ける前納保険料
国税庁 保険と税
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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