学資保険は控除の対象? どのくらい控除されるの?
配信日: 2022.03.29
払い込んだ保険料は、年末調整や確定申告の際に申告することで、控除されるものが多くあります。
学資保険は税金控除の対象になるのか、なるとすればどのくらい控除されるのかについて、毎年支払う保険料の控除額から、満期で受け取った給付金(返戻金)の控除額まで、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
学資保険とは? 適用される控除は何?
・そもそも、学資保険とは?
学資保険とは、生命保険会社が販売する保険種類のひとつで、毎月積み立てて子どもの学費を貯める保険をいいます。
契約時に、加入期間と受け取る金額をもとに計算した保険料を毎月払い込むことで、子どもが大学進学などの年齢になったときに、まとまった額の給付金を受け取ることができる保険で、「貯蓄型」と「保証型」の2つのタイプがあります。
ひとつは払い込んだ保険料の合計金額よりも、満期時に受け取る給付金のほうが大きいタイプの学資保険を「貯蓄型」と呼びます。
一方、「保障型」と呼ばれるのは、満期時に受け取る給付金は払い込んだ保険料の合計金額よりも少ないものの、子どもの医療・死亡保障や、親の医療保険などがついた学資保険です。
学資保険には、「払込免除特約」がついていることが多く、契約者である親が死亡・高度障害により保険料が支払えなくなった場合、月々の保険料の支払いが免除されます。支払いが免除されたあとも、契約した通りの給付金が満期時に受け取れるなど保障内容はそのまま継続されるため、万一の場合にも子どもが進学をあきらめなくて済むのが大きなメリットといえるでしょう。
・学資保険で支払ったお金には、生命保険料控除が適用される
保険契約にかかわる支払いで受けられる税金控除は、「生命保険料控除」です。この生命保険料控除は、「生命保険契約等」「介護医療保険契約等」「個人年金保険契約等」の3種類に分けられます。
学資保険は、生命保険会社が提供する「生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約」という「生命保険契約等」の条件に適うため、控除が受けられるのです。
ただし、「保障型」の学資保険は「介護医療保険契約等」の控除が適用される場合もありますので、注意しましょう。
一般的に、どちらの控除が適用されるかは、加入した保険会社から毎年送られてくる「生命保険料控除証明書」に記載されています。
控除額の具体的な計算方法は?
・毎年支払う学資保険控除額の計算方法は?
学資保険を含む「生命保険契約等」で支払った保険料の控除額は、1年間の支払総額によって異なります。
契約日が2011年12月31日以前、2012年1月1日以降のどちらかによって制度が異なりますが、ここでは新制度が適用となる2012年1月1日以降に契約した学資保険について解説しましょう。
所得税の場合は、年間支払保険料が2万円以下で全額控除、2万0001円以上4万円以下では、年間支払額の2分の1+1万円が控除額となります。4万0001円以上8万円以下では、年間支払額の4分の1+2万円が控除額です。
例えば、年間支払額3万5000円では2万7500円、年間支払額6万円では3万5000円が控除されます。なお、年間支払保険料が8万円以上になると、控除額は一律で上限の4万円です。
住民税では、年間支払保険料が1万2000円以下で全額控除、1万2001円以上3万2000円以下では、年間支払額の2分の1+6000円が控除額となります。3万2001円以上5万6000円以下では、支払保険料の4分の1+1万4000円が控除額です。
例えば、年間支払額3万円では2万1000円、年間支払額4万5000円では2万5250円が控除されます。なお、年間の支払保険料が5万6000円以上になると、控除額は一律で上限の2万8000円です。
・満期になって給付金を受け取った場合の控除額の計算方法は?
学資保険が満期になって給付金を受け取った場合は、所得税・住民税とも「一時所得」として扱われ、計算方法も同じです。受け取った満期給付金の総額から、すでに支払った保険料の総額を差し引いたあとで、特別控除額50万円が控除されます。
例えば、満期給付金が300万円の学資保険に加入し、6~18歳までの12年間、月額2万円を毎月支払った場合、保険料の支払総額は288万円です。満期給付金300万円-支払総額288万円=12万円となり、特別控除50万円を引くとマイナス38万円となるため、課税されません。
ただし、ほかにも一時所得として扱われる所得があった場合は、合算されますので注意しましょう。
なお、特別控除額を差し引いてプラスになった場合も、課税対象となるのは2分の1の金額です。例えば、満期給付金から支払総額と特別控除額を差し引いた残額が5万円となった場合は、2万5000円が課税対象となります。
学資保険は控除の対象になるため、忘れずに手続きしよう
学資保険で毎年支払う保険料が生命保険料控除の対象になること、満期で受け取る給付金も一時所得として特別控除が適用されることを解説しました
ただし、どちらの場合も自動的には適用されないため、申請しないと控除が受けられません。会社員の方は年末調整で、自営業の方は確定申告の際に申請して、忘れず控除を受けることをおすすめします。
出典
国税庁 No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
国税庁 No.1140 生命保険料控除
国税庁 No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合
調布市 住民税の所得から差し引かれる金額(医療費控除・生命保険控除・配偶者控除・扶養控除など)
浦安市 生命保険の満期になった場合、住民税はかかりますか
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部