脱サラしてフリーランスに。医療保険・年金保険はどう変わるの?
配信日: 2022.04.09
具体的には、公的医療保険や年金保険の制度が変わるため、家計や老後への影響が大きいといえるでしょう。こちらでは、フリーランスになったときに変化する医療保険や年金保険についてみていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公的医療保険制度はどう変化する?
サラリーマンは基本的に、全国健康保険協会や組合管掌健康保険に加入しています。
これらは会社勤めを継続している限り加入することができ、毎月の保険料は勤務先と折半で納付するため、金額が抑えられています。毎月の給与額に応じて保険料が算定され、扶養の対象となる家族がいる場合には、人数に関係なく一律の金額です。
そのため、専業主婦や未成年の子供など扶養家族が多い家庭では、全国健康保険協会や組合管掌健康保険に加入している方が保険料は割安になっています。
一方、フリーランスになると、全国健康保険協会や組合管掌健康保険から外れてしまうため、自動的に国民健康保険に加入することになります。
ただし、保険証を発行してもらうためには自分で手続きを取らなければならないため、退職後は早めに役所に出向きましょう。国民健康保険は、前年の世帯所得に応じて保険料が算出される仕組みです。
そのため、フリーランスに転向して収入が激減したとしても、前年の会社勤め時代の給与所得から保険料が決定し、大きな負担となります。共働き世帯の場合には配偶者の所得も合算されますので、さらに保険料が高額になるでしょう。
加えて、国民健康保険は扶養家族に対しても人数分の保険料が加算されるため、社会保険料の中でも負担が大きいです。フリーランスに転向する際は、生活費だけでなく一年分の国民健康保険料もストックしておくくらいの気持ちで準備をした方がよいでしょう。
年金制度はどう変化する?
年金制度もサラリーマンとフリーランスでは内容が異なります。会社員の場合、厚生年金や共済組合など、勤務先が加入している年金に加入しています。
年金は1階部分が基礎年金と呼ばれる国民年金で、20歳以上60歳未満の全ての国民が加入していますが、会社勤めの場合にはこれに加えて2階部分である厚生年金に加入するというシステムです。
したがって、納付する年金保険料も給与額に応じて増額しますが、全国健康保険協会や組合管掌健康保険と同じく会社と折半になります。
また、配偶者が扶養に該当する場合には、配偶者の年金保険料の納付が不要になるため、世帯全体でみると負担が少ないうえ、国民年金よりも年金の支給額が増額されます。
一方、フリーランスは国民年金のみです。毎年変動する一律の保険料を全額自分で納めなければならず、配偶者が扶養家族であっても、それぞれに納付義務があります。
そのため、負担が一気に増えるだけでなく、フリーランスとして働く間は国民年金の納付記録しかないため、会社勤めを継続するよりも年金の受給額が減少します。
国民年金の加入期間が長い場合、老後に年金だけで生活することは困難です。フリーランスに転向する場合は老後資金の不安が大きくなるため、国民年金基金への加入やiDeCo、NISAの利用などの検討もするとよいでしょう。
ただ、フリーランスは退職制度がないため、働けるうちはいつまでも仕事で収入を得ることが可能です。高齢になっても働ける業種でフリーランスになった場合は、年金の繰下げ受給などを利用して受給額を増やすこともできるでしょう。
事前の情報収集と準備が大切
このように、フリーランスに転向した場合には社会保険料の負担が予想外に大きなハードルとなり得ます。家計がどのように変わるのかをシミュレーションした上で、会社員とフリーランス双方のメリットとデメリットを考慮しましょう。
また、仕事が軌道に乗るまでの生活費や社会保険料などを準備した上でフリーランスへ転向すれば、落ち着いた状態で仕事を始めることができるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部