更新日: 2022.04.16 その他保険

アルバイトやパートの社会保険適用が拡大。損をしないために“働く主婦”が知っておきたいこと

アルバイトやパートの社会保険適用が拡大。損をしないために“働く主婦”が知っておきたいこと
2022年10月からの社会保険適用拡大により、社会保険の対象となる人が変わります。これまで、社会保険に加入しないでアルバイトやパートをしていた主婦も、今後は加入義務が発生するかもしれません。
 
本記事では、社会保険適用拡大についての詳しい内容や、アルバイトやパートで働く主婦が損しないために気を付けることについて解説します。社会保険適用拡大の内容をよく確認して、今後の働き方を考えましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

社会保険適用拡大とは

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金制度改正法)により、2022年10月以降に新たに社会保険の対象となる人は、年金・医療保険が変わります。これまでパートやアルバイトで働いていた主婦(夫)も、社会保険の対象となるかもしれません。
 
まず、事業所においては、短時間労働者における社会保険適用の従業員数で、これまでの500人超が対象だったところ、2022年10月より101~500人に拡大されます。さらに、2024年10月からは51人以上の事業所が対象となります。
 
次に、短時間労働者の社会保険適用拡大で、今回の改正の大きなポイントは、パートやアルバイトの所定労働時間および、所定労働日数が4分の3以下でも、4つの要件をすべて満たせば被保険者になる点です。ここでは、4つの要件を詳しく解説していきます。
 
それでは、改正されてどのように適用拡大となったのかをみていきましょう。

 

週の所定労働時間が20時間以上あること

所定労働時間とは、従業員の労働時間のことをいいます。原則、契約上の「週労働時間が20時間以上ある人」は、要件に満たされます。
 
ただし、週の労働時間が20時間に満たなくても、実労働時間が2ヶ月連続して週20時間以上となる人で、引き続き20時間以上の労働が見込まれる人も対象です。このように、実態の労働時間が重視されることを知っておきましょう。

 

雇用期間が2ヶ月超見込まれること

次に、「雇用期間が2ヶ月超を見込まれること」が、条件として当てはまります。ただし、雇用期間契約が2ヶ月以内でも、実態が2ヶ月を超えて使用される見込みがある場合は、雇用期間のはじめからさかのぼり適用対象となります。例として以下の2点があげられます。
 

・就業規則や雇用契約書などに、契約更新や更新される場合があることが明示されている
・同一の事業所において同様の雇用契約により、2ヶ月を超えて雇用された実績がある

 
このように、短期ではなく長期で働いている人の多くは、条件を満たすものだと考えておきましょう。

 

賃金月額が8万8000円以上であること

賃金月額は、基本給や諸手当で判断されます。下記で挙げる賃金は算入されないため、それ以外の賃金で月8万8000円を超えるかどうか計算してみてください。
 

・賞与
・時間外、休日や深夜労働に対して支払われる賃金
・結婚手当など臨時で支払われる賃金
・通勤手当や家族手当など最低賃金において算入されない賃金

 

学生でないこと

パートやアルバイトで働く主婦は、一般的に学生ではない人が多いため、社会保険適用拡大の対象です。なお、学生でも休学中の人や夜間学生の場合は加入対象となります。また、卒業前に就職した学生や、卒業後も引き続き同じ会社に雇用されることが決まっている学生は適用対象です。

 

アルバイトやパートの主婦が損しない働き方とは

社会保険適用拡大により、社会保険に加入することで「手取りが減る」のではないかと不安に感じる人も多いでしょう。アルバイトやパートで働く主婦が損しないで働くには、大きく分けて2つの考え方があります。
 
1つ目は、社会保険適用拡大の条件を確認して、社会保険に加入しない働き方に変えることです。週の所定労働時間や賃金を確認して、働き方を考えましょう。
 
もう1つは、扶養範囲の上限を超えて働けるのであれば、これまで以上に働いて収入を増やすことです。ただし、妻が収入を増やす場合は、夫の「配偶者控除」を考えなくてはいけません。
 
配偶者控除は、夫の合計所得金額が900万円以下の場合、38万円の控除が受けられます。控除対象配偶者から外れても「配偶者特別控除」がありますが、配偶者の合計所得金額が増えることで段階的に控除額が下がります。
 
配偶者の合計所得金額が133万円以上になると、配偶者特別控除が受けられなくなるため、家族とよく考えて働き方を決めましょう。

 

社会保険に加入するメリット

社会保険に加入することの1番のメリットは、年金が2階建てになり、老齢厚生年金が受け取れるようになることです。また、病気やけがで仕事ができなくなるなど一定の要件を満たす場合には傷病手当金、出産した場合は出産手当金が支給されます。
 
それ以外にも、保険料の半額は会社負担であることなども挙げられます。社会保険に加入すれば、多くの保障が受けられるようになるでしょう。

 

損をしない働き方を考えよう

社会保険適用拡大により、これまで社会保険に加入していなかったパートやアルバイトの主婦も、加入が義務付けられるかもしれません。社会保険適用拡大のチェック項目を確認して、自分のライフスタイルに合わせた働き方を今一度考えてみましょう。
 
社会保険に加入したくない人は、週の所定労働時間や賃金を超えないように意識することです。また、社会保険に加入する場合は、しっかりと働いて収入を増やすことが損しないポイントです。
 
ただし、社会保険に加入することは、決してデメリットではありません。その点を踏まえたうえで、家族とよく相談して、自分の働き方を決めてください。

 
出典
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集
国税庁 配偶者控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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