賃貸契約の際に火災保険加入。すでに個人で火災保険に加入している場合はそのままでいいの?

配信日: 2022.04.17

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賃貸契約の際に火災保険加入。すでに個人で火災保険に加入している場合はそのままでいいの?
アパートやマンションの賃貸契約をする際に、必ずといっていいほど加入を求められるのが火災保険です。しかし、人によっては既に自身で火災保険に加入しているという方もいらっしゃいます。そういった方の場合、賃貸契約の前から加入していた火災保険はどうすればよいのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

なぜ賃貸契約において火災保険への加入が求められるのか

現在の日本の賃貸市場においてはほぼ100%、契約時に火災保険への加入を求められます。その理由は入居者本人の財産を守ることはもちろん、万が一賃貸物件が火事などで滅失したり、損傷してしまったりしたときに備えるためです。
 
一般的な賃貸物件で加入する火災保険には、入居者の財産を守る家財補償、賃貸物件そのものを守るための借家人賠償責任補償、近隣の入居者の財産に被害を及ぼしたときなどに備える個人賠償責任補償の3つの分野で構成されています。
 

既に火災保険に加入している場合はどうすればいい?

前の賃貸物件で火災保険に加入しているなど、既に火災保険に加入している方が新たに入居する物件の賃貸契約の際に火災保険に加入した場合、既に加入している火災保険はどうするのが正解なのでしょうか。
 
結論からいえば、従前から加入している火災保険については保険会社に連絡して解約するべきです。火災保険による給付金は損害額が上限となるため、他方の火災保険から補償を受けたら、その分の損害は補てんされたことになるため、二重加入していても、他方の保険からも保険金を満額もらえるというわけではないからです。
 
例えば、300万円の保険、A保険とB保険に二重加入していたとき、300万円の損害を受けたからと、AとB両方から合計600万円の保険金を受け取れるというわけではないのです。
 
また、火災保険は途中で解約しても、未経過期間に応じた返戻金を受け取ることができます。例えば、2年間2万4000円の火災保険を1年間で解約した場合、未経過期間である1年分の保険料1万2000円が戻ってくることになります。
 
保険料を無駄にしないためにも、既に火災保険へ加入しているという場合は新しい賃貸物件へ加入すると同時に解約できるよう、事前に保険会社に連絡して解約の手続きを進めておくようにしてください。
 

火災保険への加入を拒むことはできる?

意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、賃貸契約の際、火災保険の加入について断ることや自身が加入したい別の火災保険に加入することも可能です。火災保険の保険金の額や毎月の保険料などは保険会社や契約内容によって異なるため、不動産会社指定のものより保険料を節約することができる場合があります。
 
しかし、中には契約の条件として指定火災保険への加入が義務付けられていることもあります。その場合は火災保険への加入を拒むことはできず、指定の火災保険へ加入することになります。
 
これは民法には契約自由の原則があり、契約に条件を付けることについて基本的には当事者が自由に決められるからです。また、火災保険への強制加入は消費者(つまりは入居者)にとって不当な条件とまではいえないため、消費者契約法などによっても制限がされず、基本的に不動産会社から指定された場合はそれに従うことになります。
 

まとめ

火災保険は二重加入したとしても、補償を二重に受けられるわけではないため、保険料が無駄になってしまいます。
 
もし、既に火災保険に加入している方が新たに賃貸契約をした際に、そこでもさらに火災保険に加入したという場合は、忘れずに古い方の火災保険を扱っている保険会社へ連絡し今まで加入していた火災保険について解約の手続きをするようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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