更新日: 2024.09.01 その他保険

スマホ保険やペット保険も。少額短期保険会社ってどんな会社?

スマホ保険やペット保険も。少額短期保険会社ってどんな会社?
大手キャリアが提供するスマホの補償サービスとは別に、スマホ保険など民間の保険を活用する方もいらっしゃるでしょう。
 
ネットで簡単に申し込みができ、中古スマホ、格安スマホ、SIMフリースマホでも加入できる保険もあり、使い勝手がよくなっています。中には、1契約で端末3台まで登録ができ、補償が受けられる保険商品も登場しています。
 
このような少額短期保険を扱う会社は、どのような保険会社なのでしょうか? 普通の保険会社とは何か違いはあるのでしょうか?
仁木康尋

執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

少額短期保険

少額短期保険とは、保険金が少額、かつ保険期間も1年以内の保障性商品のことをいいます(一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険については2年間)。保険商品の例として、以下が挙げられます。
 
死亡保険、医療保険、重度障害保険、介護保険、家財保険、賠償責任保険、傷害保険など以外にも、山で遭難事故にあった際の捜索・救助費用をてん補するもの、ペットがけがや病気のときの飼い主の負担を軽減する保険など、種類もさまざまです。
 
保険金額は、1被保険者について引き受ける保険金額の上限が、保険の区分によって決まっています。また、その合計額は1000万円が上限となっています。


1.死亡保険 300万円
2.医療保険(傷害疾病保険) 80万円
3.疾病等を原因とする重度障害保険 300万円
4.傷害等を原因とする特定重度障害保険 600万円
5.傷害死亡保険 300万円
6.損害保険 1000万円

 

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保険事業者

この少額短期保険を扱う事業者は、財務局の登録制(一般的な保険会社は金融庁長官による免許制)になっています。一般社団法人日本少額短期保険協会の資料によると、2021年11月1日現在の事業者数は112社です。
 
事業者に課される規制のうち、代表的なものは以下のとおりで、参入ハードルは低いとはいえ、責任準備金や情報開示、検査・監督など経営の健全性を確保するための制約は、通常の保険会社と同等の内容になっています。
 
また、保険会社や保険持株会社は、少額短期保険業者を子会社に、少額短期保険業者は保険会社と合併や分割により保険会社に契約を承継できます。
 
<一般の保険会社との相違点>※( )は一般の保険会社が課される規制
 

1.算入規制

財務局による登録制(金融庁長官による免許制)
 

2.資本金

1000万円以上(10億円以上)
 

3.純資産額

最低資本金と同額以上の純資産額
 

4.営業保証金の供託

前事業年度の年間収受保険料×5%+1000万円
 

5.資産運用

外貨建以外の預貯金、国債、地方債に限定(原則自由)
 

6.外部監査

資本金3億円以上が対象(全社対象)
 

7.生損保兼営

生損兼営可(生損兼営禁止)
 

8.商品審査

事前届出制(個人商品は認可制)
 
<以下は一般の保険会社と同じ>
 

9.責任準備金

責任準備金 
※普通責任準備金、異常危険準備金、契約者配当準備金等
支払い備金
価格変動準備金
保険契約者配当の制限
保険計理人の選任
 

10.情報開示

ディスクロージャー誌の備置
 

11.検査・監督

金融庁(財務局)による検査・監督
報告徴求・業務改善命令・業務停止命令等
ソルベンシー・マージン比率規制
 

12.募集規制

保険募集人登録(使用人届出)
銀行等による募集制限
所属保険会社等の賠償責任
重要事項説明や割引禁止等を定めた行為規制
構成員契約規制
 

保険契約者保護機構

保険契約者保護機構は、万一保険会社が破綻した場合、破綻保険会社との保険契約の移転、合併、株式取得などにより保険契約者の保護をすることを目的とし、生命保険・損害保険別に存在しています。
 
少額短期保険事業者は、保険契約者保護機構の会員ではありませんので、少額短期保険の保険契約者は保護の対象外となります。
 

まとめ

保険金額は、保険料は少額ですが利便性の高い商品が多数あります。ただし、保険会社が破綻した場合は保険契約者の保護はされない点は十分に認識し、保険会社の経営状況を確認しておくことをお勧めします。
 
その際は、一般社団法人日本少額短期保険協会のホームページを参照してみてください。事業者一覧にディスクロージャー資料が掲載されています。
 

出典

一般社団法人日本少額短期保険協会 ホームページ
生命保険契約者保護機構 ホームページ
損害保険契約者保護機構 ホームページ
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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