更新日: 2022.05.11 その他保険

病気やけがで長期間働けなくなったときの公的保障はどのようなものがある?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

病気やけがで長期間働けなくなったときの公的保障はどのようなものがある?
病気やけがで長期間働けなくなったときに、貯蓄だけで生活や治療の費用を賄うのが厳しい人は多いでしょう。社会保険や公的年金にはそのような人の収入を保障する制度が備わっているため、知識をもっておくと安心です。
 
ここでは、病気やけがで長期休業を余儀なくされた場合に支給される「傷病手当金」や「労災補償」、障害が残った場合に支給される「障害年金」について、制度の概要や受給の条件を解説します。
 
いざというときの予備知識として、ぜひチェックしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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健康保険の「傷病手当金」

健康保険の加入者(任意加入者を除く)が病気やけがで4日以上会社を休んだ場合、以下の条件を満たしていると「傷病手当金」が支給されます。


・仕事に就けず、その期間の給与の支払いがない
・連続する3日を含んで4日以上仕事に就けない
・業務外の事由による病気・けがである

仕事に就けない状態かどうかは、仕事の内容や医師など療養担当者の意見をもとに判定されます。休業した期間中も給与が支払われる場合には、傷病手当金は受給できません。ただし、期間中の給与額が傷病手当金より低い場合は、差額が支給されます。
 
傷病手当金の支給は、仕事を連続して3日間休んだ(待機)のち、休業4日目からの開始です。同じ理由で4日以上仕事を休んでも、3日連続して休んだ期間がなければ傷病手当金は受給できません。
 
ただし、原因が業務中や通勤時にある病気やけがは、労災保険での労災補償対象となるため、傷病手当金の支給対象外となります。傷病手当金の支給額は、次の式で計算されます。
 
1日当たりの支給額=支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額(※)÷30日×2/3
 
※支給開始日以前の期間が12ヶ月未満の場合、「支給開始日が属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額」「当該年度の前年度9月30日時点の全被保険者の平均標準報酬月額」のいずれか低い額
 
なお、支給期間は支給開始日から通算して、最長1年6ヶ月です。
 

労災保険の「労災補償」

業務上や通勤中の事由による病気やけがで仕事を長期間休む場合は、労働災害保険から「休業(補償)等給付」と「休業特別支給金」が支給されます。
 
また、労働災害による病気やけがの療養のために労災病院や労災指定病院にかかった場合は「療養(補償)等給付」が支給されます。そのため、原則として治療費の自己負担がありません。
 
以下で、「休業(補償)等給付」「休業特別支給金」について詳しく説明します。
 

休業(補償)等給付・休業特別支給金

「休業(補償)等給付」「休業特別支給金」の給付の条件は、次のとおりです。


・仕事に就けず、その期間の給与の支払いがない
・4日以上仕事に就けない
・業務上や通勤中の事由による病気・けがである

「仕事に就けず、その期間の給与の支払いがないこと」は、傷病手当金の支給条件と同様です。
 
また、支給開始は休業4日目ですが、業務災害の場合休業初日から3日間の待機期間中は、事業主より休業補償(1日につき平均賃金の60%)の支給があります。給付額は、次の式で計算されます(※雇用先が1ヶ所の場合)。
 
休業補償給付・休業給付=給付基礎日額(※)×60%×休業日数
休業特別支給金=給付基礎日額×20%×休業日数

 
※病気やけがの発生日、または発生日直前の賃金締切日の直前3ヶ月間の賃金総額(ボーナス、臨時の報酬は除く)を、その期間の暦日数で割った金額
 
休業(補償)等給付、休業特別支給金は、受給要件を満たしている期間を通して支給されます。ただし、1年6ヶ月を経過しても病気・けがが治らず一定の基準に該当する障害が残っている場合は、傷病(補償)等年金の支給に切り替わることがあります。
 

国民年金保険・厚生年金保険の「障害年金」

病気やけがによる障害で仕事ができなくなったり、制限が生じたりした場合、障害年金を受給できる可能性があります。
 
障害年金の種類は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2つです。病気・けがの初診時に国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害厚生年金を請求できます。
 
障害年金を受給するには、障害の程度が法令の定める障害等級表の1級または2級に該当することのほか、年金の納付状況などの条件を満たしていることが必要です。
 
なお、厚生年金加入者は、障害等級表の3級での支給や、障害厚生年金の基準より軽い障害が残った場合に「障害手当金」を受け取れることがあります。
 
病気やけがで長期間仕事を休んだのち復帰が難しい場合や、業務内容に制限が生じる場合などには、障害年金の要件に当てはまるかどうか、自治体の担当窓口や年金事務所などに相談してみるとよいでしょう。
 

いざというときに受けられる保障を把握しておこう

病気やけがで長期間働けなくなった場合、原因が業務や通勤とは関係ない場合は傷病手当金、業務中や通勤中に原因がある場合は休業(補償)等給付などの労災補償を受給できる可能性があります。また、病気やけがにより障害が残り仕事に支障が出る場合は、障害年金の対象になることもあります。
 
万が一に備えて、どのようなときにどのような保障を受けられるのか把握しておくと安心なので、事前に知識を得ておくとよいでしょう。
 

出典

全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき
全国健康保険協会 傷病手当金
全国健康保険協会 傷病手当金について
厚生労働省 労災補償
厚生労働省 休業補償はいつまでもらえるのですか。
厚生労働省 休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続
休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続 全体版
厚生労働省 療養(補償)等給付の請求手続
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害等級表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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