更新日: 2022.05.25 医療保険
「コロナ保険」には入るべき? コロナでの「入院費」の目安と必要性を解説
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
目次
「コロナ保険」とはどのようなものか?
一般的に「コロナ保険」とは、新型コロナウイルス感染症と診断されたときや新型コロナウイルスが原因で入院したときに、給付金(保険金)が支払われる医療保険を指します。入院した日数に応じた入院給付金や使い道自由のまとまった一時金が受け取れるのが特徴です。補償の対象となる病気を絞っている分、少額の保険料で加入できる商品もあります。
なお、幅広く病気やけがを保障するような広く普及している医療保険でも新型コロナウイルス感染症にかかって入院をすれば、入院給付金が支払われるケースがあります。その場合、医療機関の都合で入院ができず自宅療養をしている場合でも、証明書を提出すれば給付金を受け取ることが可能です。
新型コロナウイルス感染症で入院するといくら必要?
新型コロナウイルス感染症にかかったときにどのくらいの治療費が必要になるのか、具体的に把握している人は少ないでしょう。医療費以外にもいくつかの費用が発生する可能性があります。
医療費
新型コロナウイルス感染症の症状に応じて、必要となる医療費は異なります。平均入院日数に、1日あたりの入院費用の平均単価を掛け合わせて算出した、入院から退院までの平均費用は図表1の通りです(健康保険適用前の金額)。重症の場合は、約300万円の医療費がかかることがわかります。
出典:公益社団法人全国自治体病院協議会 「新型コロナウイルス感染症実態調査結果(第3回)」より筆者作成
医療費以外の自己負担する費用
新型コロナウイルスに感染して入院をした場合には、さらに次のような費用がかかる可能性があります。
・差額ベッド代
・食費
・交通費(見舞いに来る家族分の交通費を含む)
・日用品代
入院中の食費は1食あたり460円、主に病院で個室を利用する際に必要な差額ベッド代は1日あたり6354円がかかります。
収入が減少する可能性あり
新型コロナウイルス感染症にかかると、一定期間の隔離が必要となるため、仕事を休まざるを得なくなる人もいるでしょう。入院をしない場合でも、収入が減少する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症にかかったときに利用できる公的制度とは?
現在、新型コロナウイルス感染症に対しては政府がさまざまな支援策を講じているため、費用面での負担を和らげることができます。
医療費は公費負担
通常であれば、公的医療保険制度の適用対象となる場合、医療費の自己負担額は1〜3割です。しかし、新型コロナウイルス感染症は「指定感染症」として位置付けられているため、入院や検査などの治療費については、医師の判断のもと全額公費負担となります。
収入が減少した場合に利用できる社会保険制度
会社員であれば、病気やけがで4日以上、仕事を休んだ場合に「傷病手当金」の給付が受けられます。支給される金額は療養前の給与額のおよそ3分の2です。
収入が減少し、どうしても生活が困窮する場合には、「緊急小口資金」や「総合支援資金」といった融資を受けられる制度もあります。
「コロナ保険」に入ったほうがよいのはどんな人?
新型コロナウイルス感染症にかかり入院をした場合でも、基本的に医療費の負担は発生しません。ただし差額ベッド代や食費などは自己負担となるため、貯蓄がほとんどなく、数日間の入院費用を捻出するのが難しい人は、コロナ保険に入っておいたほうがよいでしょう。
また、社会保険の支給対象とならず、仕事を休むと収入の減少に直結する個人事業主の人は、加入を検討する価値があるといえます。
出典
アメリカンホーム医療・損害保険株式会社 特定感染症安心プラン
PayPay保険サービス株式会社 コロナお見舞い金
太陽生命保険株式会社 入院重点プラン 感染症プラス(コロナ特化型医療保険)の特長
メットライフ生命保険株式会社 「新型コロナウイルス感染症」に関するお取り扱いについて
アフラック生命保険株式会社 お客様へ新型コロナウイルス感染症に関するご案内
公益社団法人全国自治体病院協議会 新型コロナウイルス感染症実態調査結果(第3回)
厚生労働省 平成28年4月1日から入院時の食費の負担額が変わり、新たに調理費の負担が追加されます
厚生労働省 主な選定療養に係る報告状況
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
厚生労働省 感染症法第 42 条の規定に基づく入院患者の療養費の支給について
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき
全国健康保険協会 傷病手当金について
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し生活に困窮する方へ
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士