会社を退職したら、健康保険はどうなる? 健康保険に加入し続けるためにはどうすればいい?

配信日: 2022.06.02

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会社を退職したら、健康保険はどうなる? 健康保険に加入し続けるためにはどうすればいい?
会社を退職すると社会保険はどうなるのか、これまでどおりの保障が得られるのか、気になりますよね。
 
会社員の社会保険には、健康保険、年金、雇用保険、労働保険がありますが、このうち労働保険以外は、個々の状況に応じて取り扱いが異なります。
 
今回は健康保険について、退職後にどう変わるのか考えてみましょう。健康保険に加入し続けるにはどのような手続きが必要なのか、また、保険料の負担はどうなるのか、確認していきます。
黒澤佳子

執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。

https://www.atharmony-office.jp/

退職後の健康保険にはどんな選択肢がある?

退職後の健康保険は、

(1) 任意継続健康保険(以下、任意継続)
(2) 国民健康保険(以下、国保)
(3) 家族の健康保険の扶養(以下、扶養)

のいずれかの手続きをすることになります。期間をあけずに再就職する場合は、(4) 再就職先の健康保険となりますが、1日でも期間があく場合は、何らかの保険加入の手続きをする必要があります。
 
(1)~(3)については、それぞれ保険料や加入するための条件が異なります。
 

(1) 任意継続

元の会社の健康保険に継続して加入できる制度です。協会けんぽに加入していた場合は、地域の協会けんぽ支部にて手続きが可能です。退職日までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あれば、任意継続が可能ですが、加入には資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に届け出る必要があります。
 
加入期間の上限は2年ですが、任意継続は「保険料を納付期限までに納付することによって自ら継続する制度」ですので、納付期限までに納付されなかった場合には、資格の喪失(取消)となります。
 
一方、自ら国保に変更したい場合は、申し出により資格を喪失することも可能です。在職時と大きく異なるのは、これまで会社が負担していた分の保険料(「労使折半」により保険料の半分は会社が負担していました)が自己負担になるので、これまでの保険料の約2倍になることです。
 

(2) 国保

国内に住所を有していれば、以下に該当する方を除き、お住まいの市区町村窓口で加入手続きができます。日本は国民皆保険制度をとっていますので、どこにも加入していない場合には必ず入る健康保険です。

・他の健康保険に加入している方とその被扶養者
・生活保護を受けている方
・後期高齢者医療制度に加入している方
・短期滞在在留外国人の方

 

(3) 扶養

ご家族の会社の健康保険の扶養家族と認定されれば、被扶養者の保険料が免除される制度です。見込み年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)など、会社によって細かい認定基準がありますので確認が必要です。なお、失業給付を受けている期間は扶養に入れません。
 
国保の場合は、世帯で加入人数が増えることになるので、所得がないとしても均等割の分は世帯としての保険料が増えることになります。
 
保険料を考えると、(3)扶養に入ることが可能であれば、保険料負担が抑えられます。(3)扶養に入れない場合は、(1)任意継続と(2)国保のどちらの保険料が安いか、必ず確認をしましょう。
 

国民健康保険と任意継続の保険料の違いは?

国保の保険料は、前年所得と世帯の加入人数によって算出されます。市区町村によって保険料の算定方法が異なるため、お住まいの地域によっても保険料が変わります。退職直後は保険料が高くなる傾向にある一方で、会社都合の退職の場合は保険料の減免制度もあります。
 
任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額に基づき計算され、適用される保険料率が変更になる場合を除き、原則2年間は変わりません。
 
保険料の計算根拠となる報酬額は、退職前の標準報酬月額(a)と全被保険者の平均標準報酬月額(b)のいずれか低い額とされていますが、2022年1月の改定で、これまでの保険料の決定方法に例外が認められるようになりました。
 
今後は会社によって保険料の決定方法が変わる可能性があるため、会社に確認する必要があります。以前は、給料が高かった方は、退職直後は任意継続を選ぶと有利になるケースもありましたが、今後はそうとも限らず、ますます個別に確認する必要がでてくるでしょう。
 
一方で、保険料が逆転するタイミングや加入の条件が整いしだい、任意継続を2年の期限の途中でやめて、家族の扶養になったり国保に加入したりすることも可能ですので、見直しをしながら最適な選択をしていきましょう。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険の加入・脱退について
 
執筆者:黒澤佳子
CFP(R)認定者、中小企業診断士

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