会社を辞めて「フリーランス」になると健康保険はどう変わる?
配信日: 2022.06.20
ランサーズ株式会社が定義するフリーランスの人口には副業として取り組んでいる会社員も含まれるため、個人事業主の人口ではありません。
ただしフリーランスの人口が640万人も増えていることを考えれば、将来的には会社を辞めて独立したいと思っている人も多いはずです。会社を辞めて大きく変わるのは、健康保険です。
執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
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フリーランスが入る健康保険
会社を退職すると、退職日の翌日に健康保険の加入者としての権利を失います。日本は皆保険制度を採っているため、会社を辞めてフリーランスになると、何らかの健康保険へ入らなければいけません。
健康保険の任意継続被保険者になる
退職日の翌日から2年間は、会社の健康保険に引き続き加入できます。任意継続といい、全国健康保険協会の資料によると退職日の翌日から20日以内に手続きしなければいけません。
健康保険組合や全国健康保険協会によっては、自治体の国民健康保険に加入するより、保険料の負担率が安くなります。ただし、以下のデメリットがあります。
(1)退職して収入が減っても保険料が安くならない
(2)全額自己負担になる
(3)原則として疾病手当金や出産手当金は支給されない
フリーランス1年目で収入が安定しなかった場合でも、任意継続していると、保険料の減免は一切受けられません。最長2年間同じ健康保険料を払い続けるため、フリーランスで会社員の収入以上に稼いでいない限り、2年間トータルでみれば国民健康保険料より高くなるでしょう。
国民健康保険に加入する
任意継続をしない場合は、自治体の国民健康保険に加入します。所得が一定水準以下であれば2割、5割、7割の保険料減免が受けられます。自治体によって保険料の負担率が変わるので、健康保険料を抑えたい人は、保険料が安い自治体への移住も検討しましょう。
保険料の変化
任意継続の場合は、会社が負担していた保険料は自己負担です。全国健康保険協会の場合、健康保険の負担率は9.5%〜10.68%と、会社を辞める前の2倍になります。
国民健康保険の場合は、自治体ごとに定められた保険料率に基づいて負担します。自治体によって保険料率には差がありますが、最低でも2倍程度の負担は想定したほうがよいでしょう。
フリーランスになると健康保険料は高くなる
会社員からフリーランスになると、健康保険料は高くなります。自治体によっては所得の12%以上の負担となり、会社員の倍以上です。健康保険料は前年の所得に基づいて計算されるので、フリーランス1年目に負担する健康保険料分の貯金は確保しておいたほうがよいでしょう。
出典
ランサーズ株式会社 『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表
全国健康保険協会
全国健康保険協会 6.任意継続被保険者の保険給付
全国健康保険協会 令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種