更新日: 2022.06.23 損害保険
地震で玄関のドアが破損。地震保険は受け取れる? 給付は何度も受け取ることはできる?
なぜ玄関のドアを破損しても地震保険を受け取れない可能性があるのか、地震保険の基礎知識と共に解説します。いざというときに、スムーズに対処できるようにしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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地震保険の基礎知識
地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営する保険で、大地震による巨額の保険金の支払いに備えられます。日本は地震大国であり、実際に起きたときの被害が心配なため、既に地震保険に加入している、またはこれから加入したいと考えている人も多い保険です。
しかし、地震保険とはそもそもどのような損害を補償してくれるのか、どのように加入したらよいかなど、不明な点も多くあります。そこで、ここでは地震保険の基礎知識について解説します。
地震保険とは
地震保険とは、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失で、居住用の建物および家財が損害を被ったときに補償を受けられる保険のことです。保険金の支払い対象となる具体例を以下で見ていきましょう。
・地震によって起きた火災で住宅が焼失した
・地震による津波で家が流された
・地震がきっかけで家屋が土砂に埋まった
ここで注意したいのは火災です。地震保険に加入していない場合、地震による火災があったとしても火災保険のみの加入では保険金が給付されません。地震による火災の損害は、地震保険でなくては補償されない点に気を付けましょう。
地震保険に加入するには
地震保険は、単体で加入はできません。地震保険に加入したい場合は、火災保険とセットにする必要があります。火災保険に加入済みであっても、中途加入が可能です。
地震で玄関のドアが破損したら保険料は受け取れる?
地震が原因で玄関のドアが破損した場合、地震保険は受け取れるかについて解説します。またあわせて、地震保険は何度も受け取れるかについても知っておきましょう。
その他、地震保険の保険料を受け取るための条件についても詳しく説明します。どの程度の損害があれば保険金が給付されるのか、確認しておくことでいざというときにスムーズに申請できるでしょう。
地震保険は損害の程度で認定が行われる
地震で玄関のドアが破損した際に保険金を受け取れるかどうかは、損害の状況によります。地震保険は建物の主要構造部が「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の分類に当てはまらなくては保険金を受け取れません。
1番損害の程度が少ない「一部損」の場合、被害額が建物の主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の時価総額3~20%未満とされています。玄関のドアが破損しただけでは主要構造部ではないため、一部損とはならず、地震保険が受け取れない可能性があるでしょう。玄関ドアのほかの箇所にも、建物が損害を受けているなどの被害状況であれば地震保険は受け取れる可能性があります。
また、地震保険は「建物」「家財」「建物と家財」のいずれかに加入します。家財のみの地震保険に加入していると、たとえ一部損相当の損害があったとしても、建物部分は保険の対象にはなりません。
地震保険は何度も給付を受けられる
火災保険は、保険期間中であれば何度でも給付を受けられます。地震保険も同様です。申請回数に制限はありません。
なお、地震保険には総支払限度額が設定されているものの、阪神大震災や東日本大震災があった際も、政府による再保険で総支払限度額内に収まりました。大きな地震があっても、問題なく地震保険が支払われています。
再保険とは、保険会社が高額な保険金の支払いなどについてリスクを分散するために、ほかの再保険引受会社と保険契約を結ぶ仕組みのことをいいます。地震保険に関しては政府が再保険を引き受けています。
地震保険で保険金が受け取れないケース
地震による損害があったとしても、地震保険の保険金が受け取れないケースがあります。具体例を見ていきましょう。
・保険の対象の損害理由が、地震等の際の紛失や盗難である
・損害が門・塀・垣のみである
・損害の生じた日が地震等発生日の翌日から10日以上経過した後である
・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
そのなかでも注意したいのは、地震等の発生翌日から10日以上経過した後に損害があった場合です。地震によって建物や家財が軽度のダメージを受けて、10日以上経過した後に大規模な損害につながったとしても、地震保険は受け取れません。
玄関ドアの破損のみでは地震保険を受け取れない可能性がある
地震で玄関のドアを破損しただけでは、地震保険を受け取れない可能性があるでしょう。
しかし、実際に補償されるのかは自分で判断するのではなく、保険会社に確認をしましょう。被害に遭われた場合は、建物や家財の被害程度や加入している保険の内容を確認して、できるだけ早く保険会社へ連絡することをおすすめします。
また、新たに地震保険の加入を検討していて分からないことがあれば、保険会社に問い合わせてみましょう。
出典
一般社団法人日本損害保険協会・一般社団法人外国損害保険協会 地震保険
一般社団法人日本住宅再生支援機構 火災保険が使えるのは一度だけ? 申請回数に制限はあるの?
財務省 地震保険制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部