更新日: 2022.06.24 その他保険

年収106万円を超えて社会保険に入ったら、もらえる年金額はどれくらい変わる?

年収106万円を超えて社会保険に入ったら、もらえる年金額はどれくらい変わる?
厚生労働省の「令和2年版厚生労働白書」によると、専業主婦(夫)世帯が少なくなり、共働き世帯が増えています。2022年10月からは、従業員数が101人以上の企業は社会保険への加入が義務付けられるため、今後、厚生年金保険制度に加入する人も増えていくでしょう。
 
厚生年金保険制度に加入した場合、将来受け取る年金額がどのぐらい変わってくるのでしょうか?
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

扶養範囲内で働く場合は専業主婦(夫)と変わらない

会社員などの妻(夫)が年収106万円を超えない範囲で働く場合、夫(妻)の扶養に入ることができます。夫(妻)の扶養範囲内で働く場合には、専業主婦(夫)と同様、第3号被保険者となるため、働いても働かなくても、将来受け取る年金額に違いはありません。
 
なお、日本年金機構は、夫(妻)が平均的な収入で40年間就業し、妻(夫)がその扶養に入っていた場合、夫婦2人で1ヶ月に受け取る年金額は21万9593円(2022年4月時点)と試算しています。
 
なお、2022年10月以降は、従業員数が101人以上の会社に勤めていて、週の所定労働時間や雇用期間の要件を満たし、年収が106万円(月額賃金8万8000円)を超える場合、パートタイマーも厚生年金保険制度に加入することになっています。
 
2024年からは従業員数51人以上の会社に勤めるパートタイマーも対象となり、パートタイマーとして働いてきた人の多くが、年収を106万円未満に抑えるか、厚生年金保険制度に加入するかを選ぶことになるでしょう。
 

厚生年金保険制度に加入すると年金額はどうなる?

厚生年金保険制度に加入する場合は、平均標準報酬額に法律で定めた率と加入月数をかけます。法律で定めた率は2003年3月までが7.125/1000で、2003年4月以降が5.481/1000です。
 
例えば東京都の場合、年収が106万円の人の標準報酬月額は、8万8000円となります。この状態で40年働いた場合に受け取れる厚生年金は次のとおりです。
 
8万8000円×5.481/1000×480ヶ月=23万1517円
 
これまで年収106万円だった人が厚生年金保険制度に加入すると、最大で年間23万1517円、1ヶ月あたり1万9293円、将来受け取る年金額が増えます。平均年収200万円(月収16万6667円)で40年働いた場合の加算額は年間44万7249円、平均年収が300万円(月収25万円)だと年間68万4028円です。
 
厚生年金保険制度に加入した場合、上限はありますが、働くほどに将来受け取る年金額が増えていきます。
 

フリーランスや自営業の場合は専業主婦(夫)と変わらない

個人事業主や自営業で第1号被保険者となる場合、月額1万6590円(2022年4月時点)の国民年金保険料を納める一方、もらえる年金額は第3号被保険者が受け取れる額と変わりません。
 
第1号被保険者および第3号被保険者が1ヶ月に受け取れる年金額は、満額で6万4816円(2022年4月時点)。この金額は、マクロ経済スライドによって毎年見直しが行われています。仮に、夫婦ともに第1号被保険者である場合は、1ヶ月に受け取れる年金の額が12万9632円となります。
 
なお第1号被保険者の場合は、国民年金基金への加入や付加年金の納付などにより、将来受け取る年金額を増やすことが可能です。
 

年収106万でも1年間最大で23万1517円の差がつく

もしも夫(妻)の扶養範囲内で働いていたパートタイマーの年収が106万円を超え、厚生年金に加入した場合、年金の2階建て部分が加算され、年収106万円で最大年間23万1517円、200万円で最大44万7249円、300万円で最大68万4028円の差が付きます。
 
今後、多くのパートタイマーが厚生年金保険制度に加入することが予想されますが、加入して働く方が将来受け取る年金額を増やせます。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査令和3年分結果確報(第1表月間現金給与額)
厚生労働省 令和2年版厚生労働白書より図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移
日本年金機構 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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