更新日: 2022.07.05 損害保険

「自転車事故で1億円!?」事故に備える「損害賠償保険」義務化の経緯を解説

「自転車事故で1億円!?」事故に備える「損害賠償保険」義務化の経緯を解説
高齢者から子どもまで、さまざまな人が利用する自転車。しかし、自転車の利用には多額の損害賠償が発生するリスクがあることをご存じでしょうか。場合によっては9000万円以上の損害賠償額が発生しているケースもあります。
 
予期せぬ事故に備えるためには、自転車の損害賠償保険への加入が必要です。政府も損害賠償保険への加入を促進しており、自治体によっては義務化されています。
 
本記事では、自転車の損害賠償保険加入の必要性と代用できる保険を解説します。
東本隼之

執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)

AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

金融系ライター・編集者 | SEO記事を中心に200記事以上の執筆・編集を担当 | 得意分野:税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続 など | 難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えるのを得意としている。

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自転車の損害賠償保険の加入は義務化傾向にある

冒頭でも述べた通り、自転車保険の損害賠償保険への加入は義務化傾向にあります。
 
政府の加入促進に対応した30都道府県(宮城、秋田、山形、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、新潟、静岡、岐阜、愛知、三重、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、香川、愛媛、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島)は、条例で加入を義務化し、9道県(北海道、青森、茨城、富山、和歌山、鳥取、徳島、高知、佐賀)は「努力義務」としています。
 

図表1

(引用元:国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について)
 

義務化の背景には高額な損害賠償金がある


 
自転車に対する損害賠償保険の加入義務化の背景には、高額な損害賠償金があります。自転車で事故を起こし、被害者が死亡・重度の後遺症を患った場合には、1億円近くの損害賠償金を被害者または遺族に支払わなければならないという判決も過去にはありました。
 
しかし自転車には、自動車の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)のように法律により加入を義務付けられた保険がなく、運転者自身が備えなければなりません。
 
保険に入っていない人が事故を起こしますと、自分自身の人生も台無しにし、被害者に適切な金銭を渡せないという状況に陥ります。そういった事態を防ぐために地方公共団体レベルでの義務化が進んでいるのです。
 

自転車事故に備えられる保険


 
自転車の損害賠償に備えるには、保険への加入が必須です。こちらでは自転車事故に備えられる保険を紹介します。
 

自転車保険

「自転車保険」は、損保会社や共済組合などが運営している保険商品の総称です。自転車事故で歩行者にけがをさせたり、自動車に傷をつけてしまったりしたときに利用できます。
 

自動車保険の特約

自動車保険の中には自転車事故に備える特約が付帯されているものがあります。名称は「個人賠償特約」や「自転車事故補償特約」など、自動車保険会社によって異なります。特約によって補償額や運転者の制限がある場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
 

TSマーク

「TSマーク」は公益財団法人日本交通管理技術協会が運営している「自転車向け保険」です。TSマークの補償を受けるには、「自転車安全整備士の点検」を受ける必要があり、点検確認が行われた自転車にシールが貼付されます。
 
シールには青色と赤色があり、受けられる補償額が異なります。青色は1000万円まで、赤色が1億円までとなりますので、加入時に必ず確認しておきましょう。
 

火災保険の特約

「火災保険の特約」に自転車事故に備える補償が付帯されているケースがあります。自動車保険と同様に保険会社によって名称が異なるため、補償内容を確認する必要があります。
 

自転車事故で多額の損害賠償金が発生する可能性がある。適切な備えをしておこう


 
自転車事故を起こしてしまいますと、高額な損害賠償金を請求される可能性があります。損害賠償金額によっては、加害者本人が払いきれず、加害者家族の人生が台無しになってしまう可能性もあります。そういった事態を引き起こさないためにも適切な保険に加入し、自転車事故に備えましょう。
 
また自治体によっては、自転車の損害賠償保険への加入を義務化していますので、自身が居住している自治体の条例も確認しておきましょう。
 

出典

国土交通省 自転車事故の損害賠償に係る現状について
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
公益財団法人 日本交通管理技術協会 TSマーク
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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