「近くに川がないから」と補償内容を絞り込んで大丈夫? 火災保険の加入の前に、ハザードマップの確認を!
配信日: 2022.07.06
それらの諸費用を少しでも抑えようと思うと、支払うべき税金を抑えることはなかなか難しいでしょう。そのため、火災保険の補償内容を絞ることを考える方もいらっしゃるかもしれません。ただし、絞り込みには注意が必要です。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
火災保険の保険料を抑えることを検討する
特に補償期間が長い火災保険は、保険料を一括で支払う場合、1年あたりの保険料が安かったとしても、まとまった金額になることもあります。
「近くに川がないから」と、水災補償のないプランを検討する方もいらっしゃると思います。確かに、補償の対象となる保険事故を減らすことができれば、保険料を抑えることができます。
しかし、「近くに川がない」などの理由で、水災補償のないプランで良いのでしょうか?
水災補償の有無を検討する前に、ハザードマップの活用を!
国土交通省国土地理院では「ハザードマップポータルサイト ~身のまわりの災害リスクを調べる~」を公開しています。
もちろん、火災保険の補償内容を判断するためだけに設けられたサイトではありません。しかし、火災保険の「水災補償の有無」を検討するのに役に立つのではないでしょうか?
住所を入力すれば地図が表示され、「表示する情報を選ぶ」の項目では、「洪水(想定最大規模)」を選択すると地図に重ねて表示されます。
ハザードマップを試してみると、付近に川が流れていなくとも、水災が発生する可能性、つまり「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」になっている場所があります。
例えば、「渋谷駅」と入力し、地図が表示されると、少なくとも西北の方角には川と思しきものは見当たりません。
しかし、「災害種別の選択」の項目で「洪水浸水想定区域(想定最大規模)」を選択すると、地図に重ねて、薄い肌色の塗りつぶしが西北の方角に伸びています。「凡例解説」をクリックすると、水深「0.5~3.0m」であることが分かります。
付近を流れる川がなくとも、ハザードマップで洪水の可能性があれば、火災保険の補償を考える上で、水災補償は検討に値するのではないでしょうか。
賃貸住宅でも水災補償を検討できる
アパートやマンションなどの賃貸住宅にお住まいの場合でも、水災を補償の対象とした火災保険のプランを検討できます。
賃貸住宅にお住まいの方は、賃貸借契約を交わす時に、併せて家財を対象とした火災保険に加入する方もいらっしゃいます。
特に、アパートやマンションの1階にお住まいの方や戸建て賃貸にお住まいの方は、念のため、ハザードマップを確認しておいたほうが良いかもしれません。
ハザードマップの次は、認定基準の確認を
火災保険の水災の補償は、洪水が発生し建物が水に浸かれば、保険金支払いの対象になるとは限りません。床上浸水など、約款に定める認定基準に該当した場合に、保険金支払いの対象になるのです。
ハザードマップを確認し水災補償の必要性を感じたら、どのような場合に水災補償の対象になるのか、事前に確認しておきましょう。
出典
国土交通省国土地理院 ハザードマップポータルサイト ~身のまわりの災害リスクを調べる~
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役