【交通事故】対人、対物保障の無制限は無制限じゃない? 自動車保険で知っておきたいこと
配信日: 2022.07.27
そこで今回は、事故を起こしてしまった場合に備えて、相手方への保障がどのように支払われるのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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対人賠償について
相手に対して支払われる保障としては、「対人保障」と「対物保障」があります。
まずは、対人保障について見ていきましょう。対人保障は、その名のとおり相手の身体に対する保障となります。この身体というのは体の損害だけでなく、精神的な損害も含まれます。
対人保障は、強制保険と任意保険とで保障範囲が異なるのでそれぞれ解説していきます。
強制保険は加入必須
強制保険は自賠責保険と呼ばれ、自動車を運転する場合は加入が義務付けられているものです。
無保険で運転した場合は違法となります。強制保険は法律で定められているので、どの保険会社で加入しても保障内容は同じになっています。
交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を穴埋めすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付き)を含む全ての自動車に加入が義務付けられています。
この強制保険の特徴としては、あくまで対人賠償しか保障していないところです。対物賠償については保障されていないので気を付けましょう。
また、強制保険の賠償には限度額があります。例えば、傷害による損害は被害者1人につき120万円、死亡による損害は被害者1人につき3000万円となっています。賠償額は事故や被害の程度で変わるので一概にはいえませんが、強制保険では足りない場合もあります。
高齢化に加えて医療や介護の進歩で、賠償額の高額化が顕著になっているからです。足りない場合に備えて、任意保険で穴埋めすることも選択肢に入れましょう。
任意保険は保障を無制限にできるが注意点も
任意保険は、強制保険では足りない金額や保障について穴埋めするために、保険会社で任意に加入する保険です。
強制保険と異なり、賠償の限度額は無制限に設定することが可能です。無制限しか設定できない保険会社も多いです。しかし、無制限といっても、際限なく支払われるわけではありません。対人保障による無制限は、あくまで法律上で支払われなければならない損害賠償額までとなっています。
そもそも、賠償責任が発生していない場合は支払い対象にならないので覚えていてください。
対物賠償について
対物賠償は相手の物に対して損害を負わせたときに支払う賠償です。事故が起きた際の相手の車や、ガードレールや信号機などの公共物の賠償も含まれます。
対物賠償については、強制保険が使えません。強制保険は前述のとおり対人賠償のみだからです。そのため、被害相手の物に対する賠償は、任意保険に加入していないと全て自己負担になってしまいます。
任意保険
対物賠償における任意保険でも、賠償額を無制限にすることが可能です。こちらも無制限しか設定できない保険会社が多くなっています。しかし、無制限といっても限度額があります。対物賠償の限度額は「物の時価額」となっています。
例えば、相手の自動車に損害が発生した場合、その自動車の時価額が50万円だったとしますと、保障が無制限であっても50万円までしか保険会社は支払うことができません。もし、時価額よりも高い修理代がかかってしまった場合は、足りない金額は自己負担になってしまいます。
保険会社によっては、自動車の時価額に金額を上乗せすることができるオプションもありますので、自身の任意保険の内容がどのようになっているか確認してみてください。
また、限度額が時価額と聞いて無制限でなくてもよいのでは、と感じた人もいるかもしれません。しかし対物賠償は、前述したように自動車だけでなく、ガードレールや信号機などの公共物も損害の対象となります。公共物は高額なものが多いため、対物賠償も無制限にしておくと安心です。
「もしも」のことをイメージしましょう
自動車を運転している人は、誰もが被害者にも加害者にもなってしまう可能性があります。もしも事故を起こしてしまい、加害者になってしまっても保険があれば経済面の負担は減るでしょう。
しかし、場合によっては支払いの対象にならなかったり、無制限であっても自己負担が発生したりすることもあります。まずは、強制保険や自身が加入している任意保険の内容を確認してみてください。そして、もしも加害者になったらどのようになるのかをシミュレーションしてみましょう。
出典
国土交通省 自賠責保険(共済)とは?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部