収入から考える月々の生命保険料、いくらが適切?
配信日: 2022.08.02
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
1世帯あたりの平均保険料は1ヶ月でおよそ3万2000円
生命保険文化センターが令和3年に行った「生命保険に関する全国実態調査」によると、1世帯あたりの平均保険料は年間で37万1000円。1ヶ月あたりおよそ3万916円支払っている計算になります。
3万916円と聞いて「そんなにたくさん払っているの?」、反対に「それだけしか払っていないの?」と、各人でいろいろイメージするかもしれませんね。
とはいえ、家族構成や年齢や性別、収入などもさまざまであり、加入している生命保険の内容も多岐にわたっていますので、この金額はあくまでも平均値です。
この平均値は、年齢が高くなるほど保険料が高くなる傾向になっています。その理由として考えられるのは、単純に世帯の家族の人数が増えている、また年齢を重ねることで死亡保障以外にも老後に備えた保障にも加入する、などが考えられます。
・29歳以下:年間21万5000円(月額1万7916円)
・30~34歳:年間26万2000円(月額2万1833円)
・35~39歳:年間38万2000円(月額3万1833円)
・40~44歳:年間34万8000円(月額2万9000円)
・45~49歳:年間37万5000円(月額3万1250円)
・50~54歳:年間43万2000円(月額3万6000円)
・55~59歳:年間43万6000円(月額3万6333円)
※月間保険料は小数点以下切り捨て
保険料の目安は月収の5%以内
毎月の保険料は月収の1%~7%以内が適切だと筆者は考えますが、6%もの開きがありますので、どうすれば良いのか悩んでしまいますよね。では、実際の金額を算出して、考えてみましょう。
例えば月収20万円の場合、1%では2000円、7%では1万4000円となり、金額に換算すると、1万2000円もの差があります。月収30万円の場合、1%では3000円、7%では2万1000となり、1万8000円の差となりました。
1%とした場合、2000円もしくは3000円となってしまうため、加入できる保険の種類も限られてしまい、本当に必要な保障が得られない可能性も出てきます。必要な保障が得られなければ、本来の保険の意味が失われてしまいます。
そこで筆者が提案したいのが、月収5%以内で加入するということです。5%であれば、月収20万円なら1万円、月収30万円なら1万5000円ですので、必要な保障を取捨選択することもできるのではないでしょうか?
保険に加入するときには、社会保険や勤務先の制度がどのようになっているのか確認し、足りない保障から優先して加入するようにしましょう。
優先順位を決めて加入する
保障は手厚いほど安心できるのですが、限られた収入からすべての保障を得るのは難しい人もいるのではないでしょうか。そこで、取り組んでほしいのが、優先順位を決めて生命保険に加入するということです。
例えば扶養家族がいない場合、自分のための保障が必要になります。このようなケースでは、医療保険に加入するのがお勧めです。年齢が高く将来に備えたい場合には、プラスして介護保険、年金保険などに加入すると良いでしょう。
子どもがいる家庭の場合、世帯主に万一のことがあったときに備えて死亡保障を確保すると良いでしょう。その他には医療保険、教育費に備えて学資保険に加入するなどが考えられます。
子どもが独立した後の夫婦であれば、医療保険をベースに介護保険や年金保険を検討すると良いのではないでしょうか。
いずれの場合も、自分の家庭に必要だと思う保障を考えから、それらの保障・保険に優先順位をつけて加入すると無駄がありませんし、リスクに備えることが可能になります。
なお、子どもにかかる教育費は無償化が進んでいるため、そのための備えが必要かどうかは、世帯年収や家族構成、進学先によっても違いがあります。「一般的には」「子どものために」などの言葉に惑わされることなく、必要な保障を見極めていくことが大切です。
出典
生命保険文化センター 平成30年度 生命保険に関する全国実態調査 2021(令和3)年度
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト