更新日: 2019.01.10 医療保険
医療保険は効率よく入ろう 年齢別、見ておきたいポイントとは(40代編)
公的な健康保険制度でまかなわれるものを知ったうえで、それでは足りない部分を民間の医療保険で補うのが、効率よい保険のかけ方であることは30代編でお話ししたとおりです。
40代は人生の折り返し地点でもあり、30代の頃とも立場や背負うものも異なります。どんなことを注意したらよいでしょうか。
Text:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
住宅ローンの団体信用生命保険との兼ね合いを考える
40代に入ると、マイホーム購入を検討する人、あるいはすでに購入した人が多いでしょう。住宅ローンを組めば、団体信用生命保険(団信)も加入する人が多いと思います。
一般の団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が万一亡くなる、あるいは特定の高度障害に該当すると、残りのローン残高のすべてを支払わなくてすむ保険です。
加えて、3大疾病特約付団体信用生命保険は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかると、同様に残りの支払いが免除になるものです。
3大疾病特約付きの保険料は、ローン適用金利に年0.3%上乗せして支払います。住宅ローン残高が多い場合は、かなりの金額が免除されることになりますので、例えばがん家系などで、がんリスクが高い人などには検討の余地はあるでしょう。
ただし、三大疾病の保障の最長は75歳までです。3大疾病特約付の団体信用生命保険を選ぶかどうかは、設定当初に決めなければならず、途中変更はできません。
これと似ているのが、医療保険の3大疾病払い込み免除特約です。
こちらは、3大疾病の状態に該当すると、それ以降の保険料を支払わなくて済みます。終身医療保険であれば、入院や手術の給付金の保障は一生継続します。
住宅ローンの特約に比べると、免除される金額が少ないかもしれませんが、こちらの特約は長生きリスクに対応できるといえるでしょう。
定期医療保険と終身医療保険、どちらがよい?
40代になると病気のリスクも高まることから、現在、定期医療保険に入っている人は、終身医療保険へ切り替えたいと思うこともあるでしょう。
どちらがよいとは一概にいえませんが、年齢が上がると保険料も上がるので、同じ保障を生涯欲しいと思うのであれば、今の定期保険を解約して、終身保険を新たに買うことを検討してもよいでしょう。
終身にするメリットは、
・生涯の保険料を今現在の年齢の価格で固定できる。
・定期保険期間満了直後に病気になり、新たな保険に入れなくなる、あるいは入れたとしても保険料が高くなるなどのリスクがなくなる。
一方、気を付けなければいけない点は
・加入中の保険とまったく同じ保障が、見つかるかどうかわからない。
・加入中の保険よりもあとに入るため、多少なりとも保険料が上がる可能性がある。
がん保険は別途入るべきか?
がんは年齢が上がるとともに、かかるリスクも上がることは確かです。
がん家系の人で、貯蓄の少ない人は検討してもよいかもしれませんが、医療保険がどこまでカバーしてくれているのか、そしてがんになったらどのような保険金をもらいたいのかにもよります。
1. 医療保険に3大疾病特約はついているか?
→ ついていれば、がんにかかったら入院給付金などの保障が手厚くなる。
2. 放射線治療が標準でセットになっているか?
→ 最近の医療保険はセットになっているものも多い。
3. 医療保険に先進医療特約はついているか?
→ ついていれば、がん保険の先進医療特約は不要。
4. がんと診断されたら一時金が欲しいか?
5. 抗がん剤治療になったら、保険金は欲しいか?
6. 通院治療も保障してほしいか?
4~6の答えがイエスなら、高額療養費という公的な健康保険の制度(30代編を参照)もあることをまずは考慮しましょう。
貯蓄が十分ある人は、保険金でまかなわなくてもよいかもしれません。そのうえで、なお答えが変わらないのであれば、がん保険を検討してもよいでしょう。
その際は、がん保険もオーダーメード化が進んでいますので、欲しいものだけをピンポイントで買える商品を選ぶとよいでしょう。
最も大切なことは「保険は支払事由に該当しなければ、丸々かけ捨て」ということを認識して、必要最小限に絞ることです。
保険に入ったと思って保険料分を貯蓄すれば、必要な時期に必要な用途で使うこともできます。ただし、大きな額を貯めるには時間がかかるので、かかると大きな金額になるもの(例:先進医療など)は、保険でまかなうのに適しています。
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表