更新日: 2022.10.15 その他保険

定年退職後の健康保険の選択肢は4つ。それぞれの特徴や条件を解説

定年退職後の健康保険の選択肢は4つ。それぞれの特徴や条件を解説
定年退職前後のさまざまな手続きに、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。その中の1つに健康保険に関することがあります。
 
会社を辞めたら、その後はどんな健康保険に加入できるのか、それぞれどんな特徴があるのか。今回はそんなあなたのお悩みに答え、解説していきます。
上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

退職後の健康保険、選択肢は4つ?

退職後、仕事をしない場合の選択肢は以下の3つになります。

1.任意継続健康保険
2.国民健康保険
3.家族の健康保険(被扶養者)

退職後、再就職する場合は以下の選択肢が考えられます。

4.再就職先の健康保険

在職中に全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していたと仮定して、以上4つの選択肢を解説していきます。
 

任意継続健康保険とは?

会社を退職した場合、一般的には国民健康保険に加入することになりますが、元々加入していた健康保険を継続することもできます。これを任意継続健康保険といい、加入期限は最大2年間です。保険料について、在職中は会社と本人で半分ずつ負担することとなっていましたが、任意継続健康保険になると本人が全額負担することとなります。
 
ただし、保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、それを30万円として計算した額になります。保険料は原則2年間変わりません。一般的に、標準報酬月額が高かった人にとってはお得な制度と思われます。なお、被扶養者がいる場合でも、その分の保険料はかかりません。
 
保険給付については、傷病手当金と出産手当金を除き、在職中に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。手続きは退職の日の翌日から20日以内に行う必要があります。
 

国民健康保険とは?

国民健康保険は、他の医療保険(被用者保険、後期高齢者医療)に加入していないすべての方を対象とした医療保険です。
 
国民健康保険制度は、都道府県および市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合で構成されています。定年退職後に加入する国民健康保険は、一般的に市区町村国保となります。
 
国民健康保険には被扶養者という概念がないため、世帯の一人ひとりが被保険者となります。保険料は世帯の被保険者ごとに計算し、合計したものを世帯単位で納めます。各市町村の判断により計算式は異なるため、実際の額はお住まいの市区町村に確認する必要があります。
 

家族の健康保険(被扶養者)とは?

家族の中で働いている人(被保険者)がいれば、その健康保険に被扶養者として加入することもできます。
 
被扶養者の範囲は以下のとおりです。

1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
 
2.被保険者と同一の世帯で、主として被保険者に生計を維持されている次の人

(1)被保険者の3親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
(2)被保険者と事実上婚姻関係にある配偶者の父母および子
(3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子

主として被保険者に生計を維持されている、と認定されるために必要な収入の基準は、認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であり、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合(認定対象者が被保険者と同一世帯でなければ、被保険者の援助による収入額より少ない場合)です。
 
なお、状況によっては上記以外の場合でも認められることがあります。
 

再就職先の健康保険とは?

退職後すぐに別の会社で働く場合、働き方によっては再就職先の健康保険に加入することができます。この場合、保険料は会社と折半になります。
 
定年退職後もまだまだ人生は続きます。老後に働き続けることも視野に入れておきましょう。
 

まとめ


 
健康保険制度はとても大切なものです。特に定年退職後、年を重ねていくと、病気やけがをする可能性も高くなっていくと考えられます。
 
手続きが遅れるなどして、健康保険に加入していなければ、病院に行った際、医療費を10割(全額)支払うことになってしまいます。
 
定年退職を迎える前に、健康保険制度について知識をつけ、どの選択肢を取るかよく検討しておきましょう。
 

出典

全国健康保険協会 退職後の健康保険について
全国健康保険協会 保険料について
全国健康保険協会 滋賀支部 お知らせ 任意継続被保険者制度への加入をご希望の皆様へ
厚生労働省 国民健康保険制度
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
全国健康保険協会 被扶養者とは?
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

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