更新日: 2022.10.27 自動車保険
「等級リセットは可能?」事故後に自動車保険を乗り換えたらどうなる? 等級や保険料への影響とは
「事故後に乗り換えれば等級は絶対に下がらない」と考えるのは実は誤りで、自動車保険の等級は、保有している等級や状況によって、乗り換えをしても引き継がれる可能性があります。
今回は、自動車保険の等級引き継ぎや保険料が上昇する仕組みについて解説していきます。事故後の保険料が心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
金融系ライター・編集者 | SEO記事を中心に200記事以上の執筆・編集を担当 | 得意分野:税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続 など | 難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えるのを得意としている。
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1~5等級の場合は乗り換え後も引き継がれる
事故後の自動車保険等級が「1~5等級」に該当する場合は、自動車保険を乗り換えても等級が引き継がれます。これらの等級を「デメリット等級」と呼び、「自動車保険の満期・解約日から13ヶ月間は、新規契約をしても等級が引き継がれる仕組み」となっています。
なお、事故を起こしたことを隠したり、自動車保険等級を申告しなかったりすることは「告知義務違反」に該当します。事故を起こした際に補償が受けられず、契約解除となってしまうケースがあるので注意しましょう。
自動車保険会社は、等級制度を適切に運用するために会社間で等級情報を共有しています。そのため、前契約の等級を申告しなかった場合でも、事故があった事実と等級の情報が新規契約先に共有されることとなります。
7等級以上で8日間の空白期間があれば等級がリセットされる
自動車保険等級が「7等級以上」の場合には、前契約の満期(解約)日から8日間の空白期間が経過すると等級の引き継ぎができません。事故に遭った車を廃車し、新しい車に乗り換える際は注意が必要です。
廃車登録を行うと自動車保険が解約されるため、新しい車が届くまでに8日間以上の期間があった場合は、等級を引き継ぐことができなくなってしまいます。
新規契約まで期間が空いてしまう場合は、自動車保険会社から「中断証明書」の発行を受けておきましょう。中断証明書を発行すると等級を最大10年間引き継ぐことが可能となります。廃車や海外赴任などで長期間にわたって車を使用しない場合は、自動車保険会社に忘れずに発行を依頼しておきましょう。
ただし、一部の共済では、引き継ぎの対象外となるケースがあるので注意が必要です。
「事故あり係数」も引き継がれる
事故を起こすと、自動車保険等級が下がるだけでなく「事故あり係数」が適用されます。事故あり係数は、事故によって下がった自動車保険等級分と同じ年数が適用され、保険料が割り増しされます。例えば事故で3等級下がると、保険料が高くなった状態が3年間継続されるという具合です。
事故あり係数も、デメリット等級と同様に13ヶ月間は引き継がれます。自動車保険に新しく加入する場合であっても、告知義務があるので必ず自動車保険会社へ連絡しましょう。
自動車保険を使うかの判断は保険料との比較が大切
交通事故に自動車保険を使うべきかを判断する際には、事故の損害額と事故後の保険料を把握し、比較することが大切です。事故内容や保険金額によっては、保険料の方が高くなってしまうケースもあります。
自動車保険を利用する際は、事故によって等級がいくつ下がるのか、事故あり係数が適用されている期間の保険料がどれだけ上昇するのかを確認しておきましょう。
自動車保険を乗り換えても等級は引き継がれる
このように、交通事故によって適用された事故あり係数やデメリット等級は、自動車保険を乗り換えても引き継がれます。引き継がれないようにするためには、自動車保険の満期(解約)日から13ヶ月の空白期間を設ける必要があります。
ただし、中断証明書を発行すると、等級が最大10年間引き継がれる可能性があるので注意しましょう。また、交通事故の損害金額より自動車保険料の割増金額が大きくなってしまうケースもあります。自動車保険の保険金請求は、保険料の割増金額と割増期間を確認した上で行うように心がけましょう。
出典
ソニー損保 他の保険会社の等級でも引継げるの?
ソニー損保 中断証明書を発行するメリットは
チューリッヒ保険 告知義務違反すると保険金は支払われない?
三井ダイレクト損保 自動車保険を乗り換えたら?車を買い替えたら?「等級」の引継ぎについて
執筆者:東本隼之
2級FP技能士