更新日: 2022.10.27 保険

2022年10月からの「雇用保険料引き上げ」とは? どんな影響がある?

2022年10月からの「雇用保険料引き上げ」とは? どんな影響がある?
雇用保険とは、働いている人が失業した場合に給付される保険を指します。一般的には失業手当や失業保険とよばれます。雇用保険は、原則として週20時間以上働く予定の人を雇った場合、雇用主に加入義務が発生します。
 
雇用保険は、働く側・雇う側が納める雇用保険料を財源としており、その負担は働く側、雇う側の双方にとって少なくありません。
 
雇用保険料は2022年10月より改定され、引き上げが決定しました。そこでこの記事では、雇用保険料の引き上げの背景や実際にどんな影響があるかを解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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2022年10月から雇用保険料が引き上げられる背景とは?

雇用保険が引き上げられる背景のひとつには、2020年頃から現在まで日本国内でも流行している新型コロナウイルスがあります。
 
その影響から以下2つの事態が発生し、今回の雇用保険料の引き上げが決定されました。

1. 企業の業績不振や人員不足
2. 失業者の増加

 

背景1:企業の業績不振や人員不足

まず挙げられるのが、企業の業績不振です。新型コロナウイルスの影響から、事業の縮小をせざるを得なくなった企業は少なくありません。また、従業員が新型コロナウイルスに感染し、休職したことにより人員不足になってしまった企業もあります。
 
そういった企業に、政府は雇用調整助成金を給付しました。雇用調整助成金の受給の申請をした企業は多く、支給額は2021年12月時点で5兆円を突破しています。
 

背景2:失業者の増加

企業の業績不振に伴い、廃業や倒産、人員整理を余儀なくされた企業もあり、新型コロナウイルスの影響で多くの失業者が生まれました。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「国際比較統計:失業給付受給者数・申請者数」によると、ピーク時の2020年9月には国内でも月に50万人を超える人が失業手当の申請をしています。これは現在の約120%にも相当する人数です。
 
このようなことから、失業手当も雇用調整助成金と同じく財政を圧迫し、今回の雇用保険料引き上げの原因となりました。
 

雇用保険料引き上げによる影響は?

次に、雇用保険料を引き上げることによる影響をみていきましょう。
 
雇用保険料引き上げによって、起こり得ることを2つ紹介します。

1. 働く側も雇う側も負担が増える
2. 求人が減少する可能性がある

 

働く側も雇う側も負担が増える

雇用保険料は給与をもらう側と払う側、つまり働く側と雇う側の双方が負担するものです。
 
仮に月給20万円をもらっている会社員の場合、従来であれば働く側は毎月600円、雇う側は毎月1300円でしたが、2022年10月より、働く側は毎月1000円(+400円)、雇う側は毎月1700円(+400円)になります。
 
金額はそう多くないようにみえますが、働く側の年間負担額は5000円近く増加します。また、雇う側は従業員の数だけ雇用保険料を払わなくてはなりません。働く側と雇う側、双方の負担が大きくなります。
 

求人が減少する可能性がある

企業の負担が増えると、財務悪化を懸念した企業が、フルタイムで働く正社員の求人を減らす可能性があります。その結果、アルバイトやパートなどの非正規雇用者や、派遣社員などで人員を埋めるため、より正規雇用が難しくなってしまいます。
 

雇用保険料が引き上げられた具体的な例

雇用保険料の計算方法は「給与 × 保険料率」という単純なものですが、保険料率は従事している仕事によって変わります。
 
ここでは、「令和4年度雇用保険料率のご案内」を参考に、月収30万円とした場合の保険料を業種別に計算してみましょう。
 

一般事業に従事する場合

・令和4年4月1日~令和4年9月30日まで
労働者負担:30万円 × 3/1000 = 900円
事業主負担:30万円 × 6.5/1000 = 1950円
 
・令和4年10月1日から
労働者負担:30万円 × 5/1000 = 1500円
事業主負担:30万円 × 8.5/1000 = 2550円
 

農林水産業・清酒製造業に従事する場合

・令和4年4月1日~令和4年9月30日まで
労働者負担:30万円 × 4/1000 = 1200円
事業主負担:30万円 × 7.5/1000 = 2250円
 
・令和4年10月1日から
労働者負担:30万円 × 6/1000 = 1800円
事業主負担:30万円 × 9.5/1000 = 2850円
 

建設業に従事する場合

・令和4年4月1日~令和4年9月30日まで
労働者負担:30万円 × 4/1000 = 1200円
事業主負担:30万円 × 8.5/1000 = 2550円
 
・令和4年10月1日から
労働者負担:30万円 × 6/1000 = 1800円
事業主負担:30万円 × 10.5/1000 = 3150円
 

雇用保険料の引き上げはいつの給与から?

では実際に上記で紹介した雇用保険料率は、いつの給与から適用されるのでしょうか? 基準は給与を受け取る日ではなく、締め日がいつかで決まります。具体例をみてみましょう。
 
(1)締め日が9月30日・給与支払いが10月15日の場合
→締め日が10月1日以前なので、令和4年4月1日~令和4年9月30日までの旧雇用保険料率が適用される
 
(2)締め日が10月1日・給与支払いが10月15日の場合
→締め日が10月1日以後なので、令和4年10月1日からの新雇用保険料が適用される
 
(3)締め日が10月20日・支払いが11月1日の場合
→締め日が10月1日以後なので、令和4年10月1日からの新雇用保険料が適用される
 

雇用保険料の引き上げに備えよう

今回の雇用保険料の引き上げは、新型コロナウイルスの感染拡大が大きな要因です。いまだに新型コロナウイルスの収束はみえず、収束したとしても影響は当分続くものと思われます。そのため、さらなる企業の業績悪化や失業者増加の可能性は十分に考えられます。そうなれば、雇用保険料はさらに引き上げられることになるでしょう。
 
雇用保険料の引き上げは楽観的に考えず、今後も引き上げられるものと考え、堅実な貯金や保険、または適度なリスクを取り投資を始めるのも有効な手段です。
 

出典

厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金
独立行政法人労働政策研究・研修機構 国際比較統計:失業給付受給者数・申請者数
厚生労働省 |令和4年度雇用保険料率のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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