40歳から徴収される「介護保険料」とは? 介護保険について徹底解説

配信日: 2022.10.29

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40歳から徴収される「介護保険料」とは? 介護保険について徹底解説
介護保険料は40歳以上の国民に支払い義務があります。
 
しかし、「40歳になったら介護保険料を払わないといけないと聞いたけど、そもそも自分はまだ介護なんて関係ない」と思う方もおられるのではないでしょうか。そこでこの記事では、介護保険の概要と、介護保険料を支払わなかったときのペナルティーについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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介護保険制度とは

「介護保険制度」とは、介護が必要な人やその家族が、少ない金銭負担で介護サービスを受けられることを目的とした保険制度です。利用者は所得に応じて1〜3割という少ない負担でサービスを利用できます。介護保険サービスを受けられるのは、以下の人です。


・65歳以上(第1号被保険者)の要支援・要介護の認定を受けた人

・40~64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)で、末期がん・関節リウマチ等の加齢に起因する疾病(特定疾病)が原因で要支援・要介護となった人

介護保険の財源は、国・市区町村からの公費と、40歳以上の国民が支払う介護保険料によって賄われています。そのため、介護保険制度では、40歳になると加入が義務付けられています。
 
図表1


出典:厚生労働省老健局 「介護保険制度の概要 令和3年5月」
 

介護保険料はいつから支払うのか

前述のとおり、40歳から介護保険への加入義務が生じるため、40歳以上の人は介護保険の「被保険者」として介護保険料を支払う義務があります。
 
具体的には、介護保険料の支払い義務が生じるのは、満40歳に達したときからです。この場合の「満40歳に達したとき」とは、「40歳の誕生日の前日」のことです。1日が誕生日の人は、その前日が属する月から介護保険料を支払わなければいけません。
 
例えば、10月1日が誕生日の人は、その前日の9月30日が「満40歳に達したとき」にあたるため9月分からの介護保険料の支払いが必要になります。
 

介護保険料の具体的な金額とは

介護保険料の金額は、年齢や住んでいる市町村、所得などによって異なります。介護保険料の金額は大きく分けて「40~64歳の場合」と「65歳以上の場合」で変わります。
 

40~64歳の場合(第2号被保険者)

介護保険料は、加入している医療保険によって異なります。以下で、保険料について説明します。
 

会社の健康保険に加入している人

会社員のように給料をもらっている人の介護保険料は、健康保険料や厚生年金保険料と同様、「標準報酬月額」で介護保険料が決まります。標準報酬月額とは、原則として4~6月の給与を平均した月額を、標準報酬月額表の等級に照らし合わせて決めるものです。
 
介護保険料は、「標準報酬月額×介護保険料率」で算出され、健康保険料と一緒に徴収されます。会社員の介護保険料は、被保険者と事業主が折半で負担します。
 

自営業やフリーランスで国民健康保険に加入している人

被保険者の所得や世帯の被保険者の人数、所有資産などから、市区町村が介護保険料を決定します。具体的には、以下の4つの項目が介護保険料の算出に用いられます。


所得割:被保険者本人、あるいは世帯における前年度の所得をもとに決定
均等割:世帯の被保険者数によって決定
平等割:1世帯あたりの金額として算出
資産割:世帯の資産に応じて算出

なお、住んでいる市区町村によって、具体的な算出方法は異なります。
 

65歳以上の場合(第1号被保険者)

第1被保険者である65歳以上の介護保険料は、市区町村ごとに定める「基準額」をもとに、本人や世帯の所得状況によって段階的に決定されます。基準額とは、その市町村の介護給付に必要な費用のうち、65歳以上の人が負担する分を、その市町村に住む65歳以上の人数で割った金額のことをいいます。
 
介護保険制度は市区町村が主導となって制度を実施しており、基準額も所得の段階分けも、市区町村によって異なるため、具体的な介護保険料を知りたい場合は、住んでいる市区町村のWebサイトで調べるか、役所の担当窓口に連絡して確認することが必要です。
 

介護保険料を支払わないとどうなるか

介護保険料を滞納すると、基本的に納付期限から20日以内に督促状が送付され、その際に督促手数料や延滞金を請求されます。住んでいる市町村によって手数料と延滞金の金額は異なりますが、督促手数料は70〜100円ほど、延滞金は一般的に納付期限の翌日から納入日までの日数で計算されます。
 
なお、滞納期間が1年を過ぎると、介護サービスを利用した際の費用が、自己負担額10割となり全額を支払わなければなりません。まず滞納分の納付と全額負担時の領収書を提出して返還申請を行うことで、支払った7〜9割分が払い戻されます。
 
さらに滞納期間が1年6ヶ月を過ぎた場合は、滞納分を後から納付しても返還申請もできません。納付期限から2年が経過すると時効となり保険料が納められなくなるため未納が確定し、介護保険の自己負担の割合が3割へと上がります。
 
また、高額介護サービス費制度の利用ができなくなり、自己負担額が増えてしまいます。
 
高額介護サービス費制度とは、1ヶ月で支払った介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えたとき、超えた分の金額が介護保険から支給される仕組みのことで、これを利用できないと家計を圧迫して経済的に苦しい状況を招くことになります。
 

介護保険料は忘れずに納付しよう

介護保険料の支払い義務があるにも関わらず、「まだ自分には関係ないから」と滞納していると、自分が介護サービスを使いたいときに経済的に負担が重くなる可能性があります。
 
しっかりと保険料を納付して、必要なサービスを低負担で受けられるようにしておきましょう。
 

出典

厚生労働省老健局 介護保険制度の概要 令和3年5月
厚生労働省 介護保険制度
東京都江東区 介護保険料を滞納すると…
厚生労働省 令和3年8月分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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