更新日: 2022.11.24 その他保険
フリーランスは会社員よりリスクが高い? 受けられる社会保障制度の違いをFPが解説
フリーランスの中には、病気やけがによって働けない状態に陥ってしまい、生活が苦しくなっている人もいるでしょう。万が一の事態に備えるためにも、フリーランスが受けられる社会保障制度の範囲と、自身に必要な補償額への認識を深めておくことが大切です。
本記事では、フリーランスと会社員の社会保障制度の違いを詳しく紹介します。万が一の事態に備える方法も紹介しますので、フリーランスの社会保障制度に不安を感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
金融系ライター・編集者 | SEO記事を中心に200記事以上の執筆・編集を担当 | 得意分野:税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続 など | 難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えるのを得意としている。
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フリーランスは利用できる社会保障制度が少ない
フリーランスが加入する社会保障制度は、国民健康保険と国民年金のみとなっています。なお、一定要件を満たすと労災保険に加入することが認められていますが、加入できる人は少数派といえるでしょう。
一方、会社員は健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険など、加入できる社会保障制度が多く、保障内容もフリーランスより充実しています。
健康保険
フリーランスが加入する国民健康保険では、傷病手当金と出産手当金が受け取れません。
傷病手当金とは、病気やけがで働けなくなった場合に、4日目から支給される手当金です。支給を受けるには、3日連続して働けない状態が続いている必要があります。支給されていた給与の、約3分の2を手当金として受け取れるため、働けないときに感じる収入面の心配を軽減できます。
出産手当金は、出産日を含む出産前42日から出産翌日以後56日目までの期間の、会社を休んだ日に支給される手当金です。支給金額は、給与の約3分の2となっており、出産が予定日より遅れた期間分も支給されます。
なお、国民健康保険で受けられる保障には、高額療養費制度と出産育児一時金があります。一定金額以上の医療費の負担がない点、出産時に一時金が受けられる点は安心してもよいでしょう。
年金保険
フリーランスが加入する国民年金は、会社員の厚生年金に比べて受給金額が少なくなってしまいます。また、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金の受給金額も少なくなるので注意が必要です。
なお、国民年金保険料は収入に対して変動することがないため、厚生年金のように収入が高くなったときに、保険料が上がる心配をする必要がないメリットがあります。
老齢年金の受給金額が少ないことに不安を感じる人は、付加年金や小規模企業共済、iDeCoなどを活用して備えるのも手段の一つです。障害年金や遺族年金を補うためには、生命保険などを検討してみましょう。
労災保険
フリーランスは、業務に関わる病気やけがを補償してくれる労災保険に加入できません。
ただし、製造業や運送業などを営む人で保険料を全額自己負担すれば、例外として加入できるケースもあります。これを「特別加入制度」と呼びます。
特別加入制度の業種に該当しない場合は、万が一の事態に備えて、生命保険会社が提供している就業不能保険や所得補償保険などの加入を検討しましょう。
雇用保険
会社に雇用されていないフリーランスは、雇用保険に加入できません。
雇用保険に加入できないフリーランスは、基本手当(失業保険)や育児休業給付金などの保障が受けられません。そのため、仕事を失ったときや、育児で働けないときに慌てることがないように、貯蓄で備えることが重要です。
不安な場合は生命保険で補填することも視野に入れよう
受けられる社会保障制度が会社員より少ないフリーランスは、万が一の事態に自身で備える必要があります。
一見、リスクが高いように感じるフリーランスですが、付加年金や小規模企業共済、生命保険などを活用すれば、効率よくリスクに備えることも可能です。
フリーランスの社会保障制度に不安を感じている人は、自身に必要な補償額を計算し、足りない部分を補填する工夫を取り入れましょう。
出典
厚生労働省 国民健康保険の給付について
日本年金機構 年金の受給
厚生労働省 特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)
執筆者:東本隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士