転職をしたら年収が下がってしまいました…就業促進定着手当を受け取れますか? どんな制度ですか?
配信日: 2022.12.01
「働く環境を変えたい」「新たな仕事に挑戦したい」などのさまざまな理由から、年収が下がる転職をする場合もあるでしょう。また、転職後当初は試用期間として一時的に収入が下がる場合もあります。
そのようなとき、就業促進定着手当の制度を利用できるのでしょうか。ここでは、利用条件や手当の額などについて分かりやすく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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就業促進定着手当とは?
就業促進定着手当とは、雇用保険で支給される就職促進給付の一種です。就職促進給付には、就業促進定着手当のほかに、再就職手当や就業手当、常用就職支度手当があり、いずれの手当も雇用保険の被保険者に対して早期の再就職を促すことを目的に設けられています。
これらの4つの就職促進給付のうち、就職促進給付就業促進定着手当は、再就職後の賃金が再就職前より低い場合に受けられる手当です。そのため、転職によって年収が下がってしまった場合、基本的には就業促進定着手当を受けられます。
ただし、就業促進定着手当の給付には条件があり、人によっては受けられない場合もあるため気をつけましょう。
就業促進定着手当を受けられる人とは?
就業促進定着手当を受けるためには、次の3つの条件をすべて満たしていなければなりません。
1つ目は再就職手当を受給していることです。再就職手当とは、先でも解説したとおり、就職促進給付の一種です。雇用保険の受給資格者が、一定の条件を満たした状態で早期に再就職できた場合に受け取れます。
2つ目は再就職日から継続して6ヶ月以上、再就職先に雇用されていることです。再就職したものの6ヶ月を満たさずに辞めてしまった場合や、起業して再就職手当を受けている場合なども支給の対象にはなりません。
また、再就職先で5ヶ月働いた後、その会社を退職し、ほかの会社に再就 職して引き続き1ヶ月以上働いた場合なども支給の対象外です。雇用されている期間は合計6ヶ月以上になるものの、同じ事業主のもとで継続して雇用されていないからです。
ちなみに、会社の都合による出向などであっても、6ヶ月を経過する前に、再就職先の雇用保険の被保険者資格を失ってしまうと就業促進定着手当を受けられなくなるため注意しましょう。
3つ目は再就職により賃金が下がっていることです。具体的には、再就職後6ヶ月間の賃金における1日あたりの金額が、離職前に受けていた賃金の1日あたりの金額を下回っていることが条件として挙げられています。賃金が下がったかどうかの判断は、月給や6ヶ月の合計額ではなく、あくまでも1日あたりの金額であることがポイントです。
就業促進定着手当はどれくらい受け取れる?
就業促進定着手当の支給額は、「離職前の賃金の日額」から「再就職後6ヶ月間の賃金の日額」を差し引いた金額に、「再就職後6ヶ月間の賃金支払いの基礎となった日数」を掛けて算出します。再就職後6ヶ月間の賃金支払いの基礎となった日数とは、月給制の場合、30日や31日などのようなカレンダーなどで確認できる暦どおりの日数です。
一方、1ヶ月の給与から欠勤や遅刻などをした分を減額して支給される日給月給制の場合には、給与が支払われた日数となります。また、日給制や時給制の場合には実際に労働した日数が賃金支払いの基礎となる日数です。
ただし、支給額には上限があります。上限額は、雇用保険における基本手当日額に基本手当の支給残日数を掛けた40%あるいは30%です。また、基本手当日額にも上限が設けられており、その額は6190円(60歳以上65歳未満は5004円)です。この額は毎年8月1日に見直されます。
就業促進定着手当には申請が必要! 受給を希望するなら早めに申請を
就業促進定着手当は再就職で収入が減ったときに生活の助けとなる手当です。
条件を満たしていれば受給できますが、支給を受けるためには手続きを行う必要があります。申請できる期間は再就職日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間です。
そのため、支給を受けたい場合には、再就職日から6ヶ月経過したら早めに申請しましょう。
出典
厚生労働省 就職促進給付について
厚生労働省職業安定局 就職促進給付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部