高額な先進医療に対する融資や減免の制度があるのはご存知ですか?

配信日: 2018.05.28 更新日: 2019.07.04

この記事は約 3 分で読めます。
高額な先進医療に対する融資や減免の制度があるのはご存知ですか?
300万円前後の技術料を負担しなければ受療できない先進医療。「そんな治療はまさに夢のまた夢。
 
どうせ金持ちだけが受けられるセレブ医療でしょう。こんなことなら、保険に入っていれば良かったわ」と諦めていらっしゃいませんか?
 
先進医療に対する「融資」と「減免」という制度があります。事例をいくつか、ご紹介しましょう。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

例えば、静岡県にお住まいの皆さんなら

治療開始日からさかのぼって1年以上、静岡県にお住まいの方で、静岡県立がんセンターにて、陽子線治療をお受けになる方が対象です。
 
☆ 技術料20万円の減免措置。

☆ 利子補給制度…保証料を含む6%以内の利子を補給。所得等の制限など留意するべきことがあります。

☆ 融資…県内の静岡銀行、スルガ銀行、清水銀行、三島信用金庫が窓口になります。

以下は、スルガ銀行のプランの一例です。
 
静岡県立がんセンターで受療する先進医療(陽子線治療と手術支援ロボットによる手術)の技術料と受療している間の入院費が融資の対象になります。年齢制限や返済期限、限度額など、留意しておくべきことがあります。
 
何と、団体信用生命付き!(2018年5月現在)
 

例えば、神奈川県にお住まいの皆さんなら

 
治療開始日からさかのぼって1年以上、神奈川県にお住まいの方で、神奈川県立がんセンターにて、重粒子線治療をお受けになる方が対象です。ただし、大和市にお住まいの方は、大和市独自の支援制度があるので、神奈川県の制度からは対象外になります。
 
そして、特筆するべきは(民間の)医療保険やがん保険(各種の共済制度で類似の保障を含む)の先進医療特約を契約されている方は原則として対象外になります!
 
契約をしていない旨の署名をする誓約書の提出が必要になります。
 
☆ 治療費の支援…35万円が上限です。ちなみに、神奈川県立がんセンターで重粒子線治療の技術料は350万円ですから、その1割を支援してくれるんですね。

☆ 利子補給制度…専用のローンを利用する方が対象です。返済期間は7年以内で、利率は6%以内です。(詳細な条件等は要確認です)。

☆ 専用ローン…神奈川県立がんセンターで重粒子線治療を受ける方のための専用ローンです。担保はもちろん、保証人も不要。横浜銀行とスルガ銀行の県内の2つの金融機関で扱っています。
(詳しい条件などは確認なさってください)。
 

重粒子線施設も陽子線施設も無いはずなのに…豊島区のがん先進医療費利子補給事業

サンシャインビルがある豊島区は重粒子線や陽子線などの治療施設がありません。
 
しかし、「がんによる早すぎる死」を減らそうと、豊島区は先進医療費利子補給事業に取り組んでいます。やはり、豊島区に1年以上住んでいる方が対象で、住民税の滞納が無いことはもちろん、所得等の制限があります。(その他の条件も要確認)。
 
そして、区内の2つの信金で行っている「がん先進医療ローン」の利用者が対象です。この先進医療費利子補給事業により、実質的に無利子で先進医療の治療費に対する融資を受けることができるのです。
 

国内に1年以上、在住の方なら利用することができる貸付制度

兵庫県立粒子線治療センターは、国内で唯一、重粒子線治療と陽子線治療の両方の設備を有しています。その兵庫県立粒子線治療センターでは治療費の貸付制度を行っています。
 
無利子で、返済期間は10年以内、保証人1人が必要ですが、所得制限があります。
 

まとめに代えて

重粒子線治療は技術料だけで300万円を超える自己負担、陽子線治療のそれも同じく300万円に近い自己負担が必要になる「セレブな医療」です。
 
それだけに治療の選択肢から外してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、自治体や病院によっては減免制度や融資、それに利子補給制度などを設けて、バックアップしているところがあります。
 
特に、神奈川県のように「(民間の保険で)先進医療特約でカバーできる人は対象外」とするのは、自治体が行う支援としては「あるべき姿」だと心から思っておりました。
 
諦めずに、早い段階から情報収集を行い、来るべき時にはスムースに利用できると良いですね。
 
Text:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役 専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
 

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集