健康保険が「1割」や「2割」負担になることも? それって一体どんなとき?
配信日: 2022.12.26
しかしながら、1割・2割負担の方でも所得が一定額以上の場合は、2割・3割負担となります。
今回は、健康保険の自己負担割合について説明するとともに、所得に応じて3割負担などになるケースについて詳しく解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
健康保険制度の概要
日本の医療保険は国民皆保険制度となっており、国民全員が以下のいずれかの健康保険制度に加入することになっています(※1)。
1. 国民健康保険
国民健康保険は、市区町村が運営し、自営業者や非正規雇用者、年金生活者などが加入する医療保険制度です。
2. 被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)
被用者保険は、適用事業所に勤務する会社員や公務員、その被扶養者が加入する健康保険です。
全国健康保険協会が運営し、中小企業の従業員と被扶養者が加入する協会けんぽのほか、大企業や同業種の企業などにより組織・運営され、その従業員と被扶養者が加入する健康保険組合、公務員と被扶養者が加入する共済組合があります。
3. 高齢者医療制度
75歳以上の後期高齢者が加入する高齢者医療制度は、国、都道府県、市町村が負担する公費、各健康保険が拠出する後期高齢者支援金および後期高齢者の保険料を基に、都道府県ごとに全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合により運営されています。
医療費の負担割合
年齢と所得に応じた医療費の自己負担割合は、図表1のとおり1割~3割となっています。
図表1
厚生労働省 「我が国の医療保険について」より筆者作成
(注):平成26年4月1日までに70歳の誕生日を迎えた方 (誕生日が昭和19年4月1日までの方)は、1割負担となります(※2)。
所得により自己負担割合が上がるケース
70歳以上の方の自己負担割合は図表2のとおり、年間の所得などに応じて、3割負担となる現役並み所得者に該当するか判定します(※3)。
図表2
東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合判定フローチャート」を基に筆者作成
※上図中の「はい#」は、基準収入額適用申請が必要となります。
次に、75歳以上の方で現役並み所得に該当しない場合は、引き続き、図表3のように一定以上所得者となるのか判定します(※3)。
図表3
東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合判定フローチャート」を基に筆者作成
まとめ
健康保険の自己負担割合は、基本的に年齢により1割~3割となっています。70歳以上の方の自己負担割合は所得により細分化されており、一般所得者に該当する方は75歳未満では2割、75歳以上では1割負担となりますが、現役並み所得者は3割、75歳以上で一定以上所得がある方は2割負担となります。
出典
(※1)厚生労働省 我が国の医療保険について
(※2)厚生労働省 70歳から74歳の方の医療費の窓口負担についてのお知らせ
(※3)東京都後期高齢者医療広域連合 自己負担割合判定フローチャート
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士