更新日: 2023.01.23 自動車保険
あらゆるものが値上がりの時代に、値下げ傾向のものを探してみよう。
同じ損害保険の種類でも、火災保険や地震保険の保険料は値上がり傾向ですが、ここでは自賠責保険や自動車保険の概要、保険料の値下げの背景などについて確認してみたいと思います。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
損害保険の保険料の構成
損害保険の保険料の構成は、「純保険料」と「付加保険料」の2つに大別されます。そのうち純保険料は、保険会社が実際に支払う保険金に充てられる部分で、付加保険料は、保険会社が事業を行う上で必要な経費などに充てられる部分とされています。
支払保険金に充当する純保険料は、過去の保険金の支払い実績などを基に算出される参考純率を規準に各保険会社が決定します。
実際、近年の自然災害などの増加による支払保険金の増加により、火災保険は参考純率が毎年のように上昇となり、結果、火災保険の保険料は値上げ改定が続いています。
一方、自賠責保険や自動車保険の保険料の値下がり傾向の背景には、交通事故件数などの減少が大きく影響しています。
交通事故件数、死傷者数の減少傾向
自動車保険の保険料値下げの最大の理由としては、近年の交通事故の件数や死傷者数の大幅な減少が挙げられます。
警察庁の統計によると、交通事故発生件数のピークであった2004年と2021年での交通事故件数、負傷者数、死亡者数は表1のとおりです。
【表1】
※警察庁 「統計表」より筆者作成
2004年以降はいずれの数値も年々減少を続け、2021年にはピーク時の約3分の1にまで減少しています。その要因には、自動ブレーキ装置などの自動車の先進安全技術の向上や普及があります。
自賠責保険の保険料の改定
例えば、自賠責保険の保険料については、交通事故の減少を背景に近年でも値下げの改定が実施されており、改定率は2020年4月始期の契約でマイナス16.4%、2021年4月始期の契約でマイナス6.7%となっています。
保険料は契約条件(車種、保険期間、離島・沖縄県など)によって異なりますが、自家用自動車と軽自動車の保険料は表2のとおりです。
【表2】
※損害保険料率算出機構 「自賠責保険基準料率」より筆者作成
自動車保険(任意保険)の保険料の改定
任意保険の保険料についてもさまざまな改定が行われており、料率区分ごとの較差(割増引率)、年齢条件や運転者限定の較差などが見直しされています。
任意保険の保険料は保険会社ごとに異なるため、自身の状況に合った保険の見直しも重要といえます。例えば、ダイレクト型や通販型などと呼ばれるネット型自動車保険に切り替えることで、大幅な保険料の節約を実現できることもあります。
まとめ
生活に身近なものが値上がりしている昨今ですが、物価の上昇だけに着目していると気もめいってしまいます。たまには値下がり傾向にあるものを探してみるのも、精神的には良いことではないでしょうか。
出典
警察庁 統計表
損害保険料率算出機構 自賠責保険料率の変遷
損害保険料率算出機構 自賠責保険基準料率
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー