更新日: 2023.03.03 その他保険

子持ち世帯に「収入保障保険」は本当に必要? 遺族年金との違いや注意点を解説

子持ち世帯に「収入保障保険」は本当に必要? 遺族年金との違いや注意点を解説
自分にもしものことがあった際に、生命保険で子どもや家族の生活を保障したいと考える方は少なくないでしょう。民間の生命保険に加入する際は、公的年金でどの程度カバーできるのかを知ったうえで、無駄なく備えることが大切です。
 
本記事では、そんな子持ち世帯の方のために生命保険の一種である「収入保障保険」の仕組みを紹介します。公的年金である遺族年金との違いも解説するので、必要性を理解したうえで加入を検討しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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収入保障保険とは

「収入保障保険」とは、自分(被保険者)が亡くなった際に、残された家族に年金のように(一括での受け取りを選べる商品もあり)保険金が支払われるタイプの生命保険です。万が一の際は、契約時に決めた保険金が保険期間の満了まで毎月支払われます。
 
保険金は被保険者が亡くなったあとから支払いが始まるため、契約時から時間が経過するにつれて総額の保険金額が減っていく仕組みです。そのため、死亡時に支払われる保険金額が決まっているタイプの死亡保険より保険料は安くなることが一般的です。
 
なお、よく似た名前の保険に「所得補償保険」というものがありますが、これは病気やけがで働けなくなった際の収入を補償するものなので、間違わないようにしましょう。
 

遺族年金との違いと、収入保障保険の必要性

「遺族年金」とは公的年金の一種で、国民年金保険や厚生年金保険の加入者が亡くなったときに遺族に対して支払われるものです。遺族年金には、図表1の2つがあります。
 
図表1

遺族年金の種類 受給要件・受給対象者 受給額(年額)
遺族基礎年金 国民年金の加入者や加入していた人の遺族(生計を維持されていた人)

【対象者】
子※のある配偶者、または子

・子のある配偶者が受け取る場合:77万7800円+子の加算
・子が受け取る場合:77万7800円+2人目以降の子の加算額

【子の加算】
2人目まで:各22万3800円
3人目以降:7万4600円

遺族厚生年金 厚生年金保険の加入者(会社員や公務員)や加入していた人の遺族(生計を維持されていた人)

【対象者】
以下のうち、最も優先順位が高い人
1.妻(子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給)
2.子※
3.夫(死亡当時に55歳以上の人)
4.父母(死亡当時に55歳以上の人)
5.孫※
6.祖父母(死亡当時に55歳以上の人)

死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3

〇一定要件を満たす妻は40歳から65歳までの間、58万3400円が受け取れる(中高齢寡婦加算)

※原則18歳まで、金額は令和4年度
出典:日本年金機構「遺族年金」「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」より筆者作成
 
このように、遺族基礎年金がもらえるのは「子のある配偶者」または「子」と限定的で、もらえる金額も定額です。一方で遺族厚生年金の受給対象者は幅広く、もらえる金額も年収に応じて決まるため遺族基礎年金より手厚くなります。さらに遺族厚生年金は遺族基礎年金に上乗せして受け取れます。
 
収入保障保険は、遺族年金だけではカバーできない生活費の不足分を補うための民間保険です。そのため、まずはもらえる遺族年金額と毎月の生活費を把握したうえで、毎月どの程度の保険金が必要か検討するとよいでしょう。保険料の無駄も防げます。

●収入保障保険の保険金額の考え方

毎月の保険金の目安=毎月の生活費-遺族年金の受給額

 

収入保障保険での備えが向いている人とは

「収入保障保険」は、自分が亡くなったあとの家族の生活費の保障が必要な人に向いています。例えば、子どもがまだ小さくこれから教育費がかかる人や、配偶者の収入だけでは家計が苦しい人などです。
 
また、個人事業主やフリーランスの方にも適しています。個人事業主やフリーランスは厚生年金保険に加入できないため、遺族厚生年金がもらえない可能性が高いからです。遺族年金だけでは不足する分を収入保障保険でカバーするのは有効な手段でしょう。
 
一方、収入保障保険は解約返戻金が出ないケースが多い点に注意が必要です。そのため、毎月安定的に保険料を支払う余裕のない人はおすすめできません。また、まとまった金額の保険金を一括で受け取りたい人にも向いていません。葬儀費用や子どもの入学金などを準備したい場合は、他のタイプの生命保険や貯蓄で備えることを検討しましょう。
 

まとめ

収入保障保険は保険料を抑えながら、もしもに備えられる生命保険です。残された家族に毎月一定の保険金が支払われるため、自分が亡くなったあとの生活費を保障したい場合に適しています。
 
一方、受け取る時期が満期に近づくにつれて保険金の総額は減っていくため、決まった金額を一括で受け取りたい人には適していません。収入保障保険の仕組みをよく理解したうえで、加入を検討しましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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