2023年4月より「雇用保険料率」が引き上げ! 雇用保険と引き上げ率について解説
配信日: 2023.03.11
そこで本記事では雇用保険の概要と、どの程度引き上げられるかを分かりやすく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも雇用保険とは
雇用保険とは、企業などで働く労働者の雇用と生活を守るための社会保障制度です。労働者の失業時や育児休業時の給付や、再就職の支援などを行います。
従業員を一人でも抱える事業者は原則、雇用保険に加入しなければなりません。保険料は事業主と労働者の双方が支払いますが、事業主の方が多く負担するよう保険料率が定められています。労働者が負担する雇用保険料は、毎月の給与や賞与から天引きされます。
2023年度の雇用保険料率
2023年4月から雇用保険料は0.2%引き上げられ、その負担は事業主と労働者で折半されます。つまり、労働者の負担は0.1%増ということです。事業の種類ごとの保険料率は、図表1のとおりです。
図表1
事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率合計 |
---|---|---|---|
一般 | 6/1000 (5/1000) |
9.5/1000 (8.5/1000) |
15.5/1000 (13.5/1000) |
農林水産・清酒製造 | 7/1000 (6/1000) |
10.5/1000 (9.5/1000) |
17.5/1000 (15.5/1000) |
建設 | 7/1000 (6/1000) |
11.5/1000 (10.5/1000) |
18.5/1000 (16.5/1000) |
※カッコ内は引き上げ前の保険料率
出展:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」
厚生労働省は、今回の雇用保険料率引き上げの主な要因の一つとして「雇用調整助成金」の支給により財源不足が深刻化したことにあると公表しています。
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で事業縮小(休業や短縮営業など)を余儀なくされた事業者に対して、従業員に支払った休業手当などの一部を助成する特例です。雇用保険料は2022年10月にも引き上げられており、この1年間で2回目の引き上げとなります。
労働者の雇用保険料は、毎月の賃金(賞与や各種手当含む)に対して保険料率を掛けて計算します。上述のとおり、今回の雇用保険料率の引き上げで労働者の負担は月収の0.1%増えることになります。
例えば、一般の業種で働く月収30万円の人なら月300円負担が増えます。
引き上げ後:月収30万円 × 6/1000=1800円
引き上げ前:月収30万円 × 5/1000=1500円
引き上げによる増加額:月300円
まとめ
物価上昇が続くなか、雇用保険料の引き上げも始まります。負担の増加は月数百円程度と、光熱費や食料品ほどのインパクトではありませんが、手取りの給与が減ることに変わりありません。支払った保険料は失業時や育児休業時の保障に充てられるため労働者にとって必要な支出と考えつつも、負担が増える分は家計のやりくりなどで工夫して乗り切りましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和4年改正) 関係資料
厚生労働省 大阪労働局 労働保険料の計算方法
厚生労働省 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部