更新日: 2023.03.23 その他保険
民間保険と社会保険の違いとは? 知っているようで知らない制度の違いをしっかり押さえておこう!
現役世代では自己負担額は3割で済み、月間の医療費が高額になる場合には高額療養費制度も使えます。さらに、民間の生命保険に加入している場合には、入院療養費として所定の給付金が受け取れます。
このほかにも、民間の保険制度と公的な制度は密接に関係しています。本記事では、民間保険と公的な社会保険の違いについて解説します。これらの違いを知ることで、万が一のときに役に立ちます。ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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万が一のときに役に立つ主な公的制度とは
万が一のときに役に立つ主な公的制度として、年金制度や健康保険制度があります。日本では、年金は20歳以上60歳未満の方、健康保険も国内に住所を有する方の全員が加入する義務を負っています。年金と健康保険は、いずれも働き方によって加入する団体等が違います。
●個人事業主など:国民年金と国民健康保険加入
●会社員など給与所得者:厚生年金と社会保険加入(協会けんぽなど)
年金と健康保険はどう役に立つ?
私たちが必ず加入しなければいけない年金制度や健康保険制度では、どのような際に役に立つのでしょうか。
まず年金制度では、一般的に年金とよばれる老後の生活費としてもらえる「老齢年金」があります。ほかにも、所定の障害状態に該当する場合には「障害年金」、遺族保障として「遺族年金」があります。
次に健康保険制度では、保険証を提示して医療機関を受診した場合の窓口清算時に、自己負担額が原則3割になります。さらに月間の医療費が所得に応じた上限額を超えた場合、還付が受けられます(高額療養費制度)。
運転に関する万が一のときには自賠責保険
年金制度と健康保険制度は、全国民が加入する義務があります。類似している制度として、自動車を保有している人は全員加入する義務があるものに「自賠責保険」があります。
自賠責保険は、自動車運転中に他人にけがをさせてしまったり、死亡させてしまったりした場合の補償があります。後述する民間の自動車保険に加入する場合でも、自賠責保険の加入は必須です。自動車購入時には必ず販売店を通じて加入するほか、個人間の自動車譲渡であっても自ら加入手続きをする必要があります。なお、自賠責保険は原付バイクも加入義務があります。
公的制度を補完する民間制度とは
加入義務のある各種社会保険制度に加入していると、最低限の保障は十分に受けられます。しかし、一時的にまとまったお金が必要になる場面では、公的制度だけではカバーできないこともあります。そこで役に立つのが、民間保険です。
民間保険とは、生命保険や個人年金保険、自動車保険などがあります。いずれも前述の社会保険制度を補完する目的で加入すると安心です。
民間保険を活用するには社会保険制度を知ることが鉄則
民間保険のうち生命保険とは、大勢の人がお金(保険料)を出し合って必要なときに必要な人が給付を受ける助け合いの仕組みです。これを相互扶助といいます。この相互扶助精神にのっとり、生命保険各社は特色のある保険商品を販売しています。
生命保険には、死亡時に保険金が支払われる定期保険や終身保険、病気やけが、入院に備える医療保険などがあります。これらは社会保険制度の年金制度(遺族年金)や、健康保険制度の医療費3割負担部分を補う目的があります。社会保険制度と民間保険をあわせもつことで、実際家計から捻出する費用は抑えられることになります。
自動車に関する備えでは、加入義務のある自賠責保険では相手方死亡時で3000万円、けがで120万円、後遺障害は程度により75万~4000万円の補償がされます。
しかし、事故の度合いによってはこれだけでは補償が足りないうえに、自賠責保険は、あくまでも事故の際の相手方のけがや死亡時のみが対象となっており、相手方の車の補償、自身や同乗者の補償は全くありません。
したがって、事故の相手方に対する人身的以外の補償に関してや、自身や同乗者の人身的補償および物的補償に対する補償は民間の自動車保険でカバーする必要があります。
なお、損害保険料算出機構の「2021年度(2020年度統計) 自動車保険の概況」によると、自動車共済と自動車保険とを合わせた自動車保険の加入率は88.4%と9割近くの人が加入しています。
まとめ
社会保険と民間保険は、加入義務の有無という違いがあります。社会保険は、あくまでも公的制度であることから最低限の保障のみ確保できます。一方民間保険では、社会保険だけではカバーできないリスクにも対応できます。
民間保険の加入を検討する際には、まずは現段階で自分が受けられる社会保険上の保障(補償)を把握しましょう。そのうえで、足りないと感じる部分を補完する内容の民間保険へ加入するとよいでしょう。そうすることで、民間保険と社会保険の制度をムダなく活用することができます。
出典
損害保険料算出機構 2021年度(2020年度統計) 自動車保険の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部