車を購入しましたが「自賠責保険」に入ってません。「自動車保険」に加入してれば大丈夫ですよね?
配信日: 2023.05.10
本記事では、自動車保険に加入していれば自賠責保険に加入していなくても問題はないのか、そして自賠責保険に加入しない場合のリスクを解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
自賠責保険とは
自賠責保険とは、自動車損害賠償責任保険の略称であり、自動車や原動機付自転車(原付)などの所有者に加入が義務付けられている保険です。つまり自賠責保険に加入しなかった場合は罰則があります。
自賠責保険に未加入のまま車を運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、そして道路交通法違反で免許停止処分(違反点数6点)になります。
たとえ自賠責保険に加入していても加入証明書を携帯していなければ、それだけでも30万円以下の罰金です。また、車検時に自賠責保険の加入証明書の提示が求められるため、提示できなければ車検が通らず、公道を走行することもできません。
任意保険との違い
単に自動車保険と呼んでいる保険の多くは「任意保険」のことです。自賠責保険の加入が義務なのに対して、任意保険は当然ながら自由に選択して加入できる保険となります。
自動車保険の補償には「相手への補償」「相手の物への補償」「自分や搭乗者への補償」「自分の車への補償」という4つがあります。自賠責保険は交通事故による被害者を救済することを目的としており、補償される範囲は「相手への補償」である対人賠償を確保するのみとなっています。
つまり自身が運転する車で相手にけがを負わせたり、死亡などをさせてしまったりした場合のみ補償する保険なので、自分や相手の車を破損させた場合や、自身や同乗者の傷害や死亡などの補償はありません。
自動車運転に関する万が一の事態に備えるとしたら、任意保険の加入も必要でしょう。任意保険には、対人賠償保険だけではなく、対物賠償保険、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車傷害保険、車両保険といったさまざまな補償があります。
しかし、繰り返しますが、任意保険のみに加入して自賠責保険に加入しないことはできません。まず自賠責保険に加入した上で、任意保険に加入するようにしましょう。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険の補償内容は、被害者1名につき死亡や後遺障害で3000万円、常時介護が必要であれば4000万円、傷害による損害で120万円となります。詳しくは図表1のとおりです。
図表1
国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 限度額と保障内容 より筆者作成
自賠責保険は必ず加入しましょう
自賠責保険は加入が義務付けられている保険です。もし未加入の場合、厳しい罰則があります。また一度加入した後も、更新忘れによって未加入状態になっている可能性もあるため注意が必要です。
加入証明書を車に保管したままで、気付かないうちに期限が切れていることもあるため、定期的に証明書は確認しましょう。そして、自賠責保険の補償内容は「最低限の補償」です。任意保険にも加入して、必要な補償に備えることをおすすめします。
出典
国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 自賠責保険(共済)とは
国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 自賠責保険(共済)に加入していないとどうなる?
国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 限度額と保障内容
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士