更新日: 2023.06.05 損害保険
自転車のヘルメット着用努力義務。どのような効果があるの?
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
ヘルメットを着用するメリットは?
警視庁の「自転車事故の推移(令和4年中)」によると、都内で起こった交通事故全体に占める自転車関与事故の割合を示す「自転車関与率」は46.0%でその割合は年々高くなってきています。また、負傷者は38.9%、死亡者数は22.7%となっています。
また、自転車乗用中死者の損傷主部位別では頭部が全体の64.5%を占めており、ヘルメット着用と非着用では致死率に2.3倍以上の差があるとのことですので、ヘルメットの着用によって頭部損傷による死亡事故を減らせることが明らかです。
自転車に乗るときに守るべき「自転車安全利用五則」とは
自転車はとても手軽で便利な乗り物ですが、上記のように交通事故における割合も増えてきています。事故を起こさないために、自転車に乗るときに守るべきルールのうち、特に重要なものを「自転車安全利用五則」といい、下記の5つを指します(令和4年11月に改正されました)。
1.車道は原則、左側を通行(歩道は例外、歩行者を優先)
2.交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
3.夜間はライトを点灯
4.飲酒運転は禁止
5.ヘルメットを着用
ヘルメットの値段はいくらくらい?
上記の「自転車安全利用五則」の5つ目にも出てきたヘルメットの着用ですが、実際に自転車用のヘルメットの価格はいくらくらいなのでしょうか。
筆者が販売店等に取材を行ったところ、安価なものでは2000円程度からありますが、スポーツ用では5万円を超えるものもあり、とても幅広いラインアップになっています。一般的に「装着感」「強度」「軽さ」などで使用感や価格が異なり、家庭用に購入する際は、使用頻度や装着する人の年齢等を考慮して購入すると良いでしょう。
補助金が出る場合もある
ヘルメットの着用率はまだ低いため、一部の自治体ではヘルメットの購入に対して補助金を出す市区町村もあります。ただし、自治体によってその補助金額や補助対象となるヘルメット、年齢制限、購入できる店舗、自転車保険への加入等条件が異なりますので、お住まいの自治体のホームページ等で確認してから購入するようにしましょう。
自転車用の保険も加入義務となっている自治体もある
東京都の場合、自転車利用中の事故により、他人にけがをさせてしまった場合などの損害を賠償できる保険等への加入が、令和2年4月から条例で義務付けられています。
加入義務のある保険は、いわゆる「自転車保険」という名前で販売されている傷害保険に加入しなければならないわけではありません。自動車保険や火災保険の特約、クレジットカードの付帯保険としてすでに契約している場合もあり、まずはご自身が契約している保険の内容を確認してから、新規加入が必要かどうか判断しましょう。
また、会社や学校の団体保険で加入している場合もありますので、そちらの確認も必要です。
安全運転が第一!
自転車の運転は、「ヘルメットを着用すればよい」というわけではなく、普段から交通法規を順守し、安全運転に気を付けて自転車に乗ることが大切です。気軽な乗り物ですが、一度事故を起こすと死亡したり、加害者になれば数千万円の損害賠償請求をされたりすることがあります。
楽しく便利に自転車を使うために、日々気を付けて乗るようにしましょう。
出典
警視庁 都内自転車の交通事故発生状況 自転車事故関連データ/自転車事故の推移(令和4年中)
警視庁 自転車用ヘルメットの着用
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表