【老後の備え】個人年金保険ってどんな特徴がある? メリットとデメリットは?
配信日: 2023.05.24
そこで重要なのが、個人年金保険に加入するなどして、老後の生活費を準備しておくことです。本記事では、個人年金保険の特徴や、メリット・デメリットについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人年金保険とは?
「個人年金保険」とは任意で加入する私的年金制度で、公的年金や企業年金に上乗せして受け取れます。「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類に分類されており、契約時に決めた年齢に到達後に、払い込んだ保険料に応じた年金を受け取れる仕組みです。
年金の種類ごとの特徴は図表1のとおりで「年金を受け取れる期間」と「被保険者死亡時に遺族が年金を受け取れるかどうか」に違いがあります。
【図表1】
年金を受け取れる期間 | 年金受取期間中に被保険者死亡した場合 | |
---|---|---|
確定年金 | 契約時に設定した一定期間(5年・10年・15年など) 被保険者の生存に関係なく支給される |
遺族が受け取れる(残りの受取期間の年金相当額または一時金) |
有期年金 | 契約時に設定した一定期間(5年・10年・15年など) 被保険者の生存を条件に支給される |
被保険者死亡により契約終了となるため遺族は年金を受け取れない |
終身年金 | 被保険者の生存している間は年金が支給される | 被保険者死亡により契約終了となるため遺族は年金を受け取れない |
個人年金保険のメリット
個人年金保険のメリットは以下のとおりです。
個人年金保険料控除の対象になる
老後資金に備えられる
「老後資金を準備する方法が分からない」「節税しながら老後資金を準備したい」といった考えの人に、個人年金保険は適した方法といえるでしょう。メリット別に内容を解説しますので、加入を前向きに検討してみてください。
個人年金保険料控除の対象になる
個人年金保険は、以下で定める条件に該当する場合は、生命保険料控除を受けられます。
・税制適格特約の対象である
・受取人が契約者本人(被保険者)、または配偶者である
・保険料の払込期間が10年以上
・年金の受取開始時が60歳以降、受取期間が10年以上(確定年金や有期年金の場合)
払い込んだ保険料の額に応じて、被保険者の所得より控除額が差し引かれます。課税対象の所得が減るため、所得税や住民税の節税が可能です。
老後資金に備えられる
個人年金保険に加入することで、老後の生活資金を計画的に準備できます。公的年金で受け取れる額は、図表2のとおりです。
【図表2】
令和5年度の年金額(月額) | |
---|---|
老齢基礎年金(満額) | 6万6250円 |
老齢厚生年金(標準的な年金額) ※夫婦2人の老齢基礎年金を含んだ額 |
22万4482円 ※夫婦2人の老齢基礎年金 |
生命保険文化センターが行った「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要な、最低日常生活費の平均は月額22万1000円、ゆとりある老後生活費の平均は37万9000円と伝えています。
「公的年金だけでは生活費が足りない」といった事態を回避し、ゆとりのある老後生活を過ごすためにも、個人年金保険は心強い年金制度といえるでしょう。
個人年金保険のデメリット
節税効果があり、老後の生活費を準備できるといったメリットのある個人年金保険ですが、以下のようなデメリットもありますので注意してください。
物価上昇によって受け取れる年金の価値が下がる場合がある
保険料払込期間中の解約は損をする
デメリット別に内容を解説します。デメリットを十分に認識したうえで個人年金保険への加入を検討しましょう。
物価上昇によって受け取れる年金の価値が下がる場合がある
インフレリスクに弱い点が個人年金保険のデメリットの1つといえるでしょう。個人年金保険は契約時に受け取れる年金額が決まっているため、将来的な物価上昇によって、受け取れる年金の相対的な価値が下がる可能性が高いからです。
例えば、受け取れる個人年金を月額10万円に設定していた場合「契約当時は10万円で購入できた物品が物価上昇によって10万円では購入できない」といったケースも想定できます。
保険料払込期間中の解約は損をする
個人年金保険料の中途解約は損となる恐れがあります。払い込んだ保険料総額が受け取れる解約返戻金の総額を下回る可能性が高く、元本割れを起こすからです。
個人年金保険に加入するのであれば、中途解約をしないことを前提にしてください。「急な出費に備えたい」「いつでも自由に現金を引き出したい」のであれば、個人年金保険よりも預貯金のほうが適しています。
メリット・デメリットを踏まえて個人年金保険への加入を検討しよう
公的年金だけで老後の生活費を賄おうとしても、「毎月の支出が受け取れる年金額を上回っている」「ゆとりのある暮らしができない」となるリスクが高いです。そこで、早いうちから公的年金に上乗せできる方法を取り入れておく必要があります。
個人年金保険は、生命保険料控除を受けたり、老後資金を計画的に準備したりすることが可能です。加入を検討する際には、老後生活費がどのくらい必要なのかを考えるだけでなく、メリット・デメリットのそれぞれを正しく理解しておきましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー