更新日: 2023.06.21 生命保険

「低解約返戻金型」保険とは? 解約返戻金による生命保険の分類について解説

「低解約返戻金型」保険とは? 解約返戻金による生命保険の分類について解説
解約返戻金とは、保険契約者が保険期間内に契約を解約した場合に、保険会社から保険契約者に払い戻されるお金のことをいいます。契約内容や年齢、保険料払込月数などで金額は異なりますが、一般的には、払込保険料の総額よりも少ない金額となる場合が多いといわれています。
 
本記事では、解約返戻金による生命保険の分類と、その中の1つである「低解約返戻型」保険の特徴などについて確認します。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

解約返戻金による生命保険の分類

生命保険を解約返戻金の有無などで大別すると、「従来型」「低解約返戻金型」「無解約返戻金型」の3つとなります。
 

(1)従来型

払込保険料やその月数にほぼ比例して解約返戻金も増えていくタイプの保険です。保険料の払込期間が終了した時点で、払込保険料の総額と解約返戻金がおおよそ同額程度となります。また、払込期間終了後も解約返戻金は大きく変動せず、緩やかに増加します。
 
保険期間全体を通じて、払込保険料の累計額と解約返戻金の額がそれほど大きく乖離(かいり)しない特徴があります。
 

(2)低解約返戻金型

保険料払込期間中の解約返戻金が低く設定されているタイプの保険です。一般的には、解約返戻率(払込保険料の累計額に対する解約返戻金の割合)が70%程度に設定されている商品が多いようです。
 
特徴として、保険料の払込期間が終了した時点で解約返戻金の金額が大きく増加することがあげられます。これによって、払込保険料の累計額を上回る解約返戻金を受け取ることができる場合があります。また、一定期間の解約返戻金が従来型と比べて低く設定されているため、保険料を低く抑えられることもメリットとなります。
 

(3)無解約返戻金型

従来型や低解約返戻金型(主に終身保険や養老保険など)と異なり、解約返戻金が全くないか、あったとしてもごくわずかなタイプの保険は無解約返戻金型(掛け捨てタイプ)といわれます。主に定期保険や医療保険などに多く見られます。
 
最大の特徴として、解約返戻金がない分、保険料を割安に抑えることができる点があげられます。
 

低解約返戻金型の特徴とその使い道

前述のとおり、低解約返戻金型の保険は、一定期間の解約返戻金を低く設定することで保険料を割安に抑えることができ、さらに保険料払込期間を過ぎると払込保険料の累計額を上回る解約返戻金を受け取ることができる場合があります。貯蓄と死亡保障を兼ね備えた保険であり、以下のような用途を目的に契約されることも多くなっています。
 

(1)子どもの教育資金の準備として

保険料払込期間を10年から18年程度に設定し、子どもの教育資金の準備に活用します。一般的な子育て時期となる就業現役時期の払込保険料を低く抑えることができ、かつ一定の貯蓄効果を見込める点がメリットといえます。また、通常の学資保険に比べ、充実した保障内容や高い返戻率が見込まれる場合もあります。
 

(2)老後資金の準備として

こちらも就業現役時期の払込保険料を低く抑えることができ、かつ一定の保障を得ることができます。さらに、払込期間の満了後、個人年金プランに移行して公的年金の上乗せに活用できる商品も存在し、通常の個人年金保険の代替として利用される場合があります。
 

(3)住宅ローン返済資金の準備として

住宅ローンを利用する場合、掛け捨ての団体信用生命保険だけでなく、低解約返戻金型の保険も活用することで、繰り上げ返済などの返済資金を一定時期に準備することも可能です。
 

解約返戻金にかかる税金

保険料の負担者が解約返戻金を一度に受け取った場合、解約返戻金は所得税における一時所得として取り扱われ、税金(所得税・住民税)の対象となります。このとき、解約返戻金から払込保険料の総額を差し引き、さらに特別控除50万円を控除した額が一時所得の金額となります。
 
よって、解約返戻金から払込保険料を引いた金額が50万円以下のときは、課税対象とはなりません。
 
税金がかかる場合は確定申告が必要となります。一時所得は総合課税(各種の所得金額を合計して所得税額を計算する制度)の対象となっているため、その所得金額の2分の1を給与所得など他の所得と合計して所得税を計算します。
 
実際に「低解約返戻型」保険を活用し、解約返戻金を受け取る場合には、税金がかかるかどうかについても事前に確認しておきましょう。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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