【2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大】条件に当てはまる場合は必ず加入しなければいけない?加入したくないときはどうすればいい?
配信日: 2023.09.29
しかし、従業員のなかには、扶養内で働きたいとか、社会保険料の控除により手取りが減るなどの理由で、社会保険に加入したくない人もいるでしょう。
そこで今回は、社会保険の適用範囲の拡大理由と、2024年10月以降の適用範囲や、加入したくない場合の対処法について、ご紹介します。2024年10月から、社会保険に加入しなければならなくなることで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
なぜ社会保険の適用範囲を拡大させるのか
日本年金機構によると、社会保険の適用範囲を拡大させるのは、正規雇用の従業員は社会保障を受けられるが、非正規雇用の従業員は受けられないなど、雇い方の差で、保障の差が生じないようにするためです。働いていながらも、国民健康保険や国民年金保険に加入している人が、社会保険を利用できるようにすることで、より必要な保障が受けられます。
社会保険の適用範囲
これまでは、101人以上の従業員を有する会社が適用範囲でしたが、2024年10月からは、従業員が51人以上の会社も含まれます。
従業員数とは、フルタイムで働いている従業員と、週の労働時間がフルタイムの4分の3以上働いている従業員を、合算した人数です。従業員の基準を常時上回っていると適用対象となり、基本的に自主判断で、速やかに届け出ることが必要です。
日本年金機構では、1年のうちの6ヶ月以上で基準を上回っていれば、適用となります。
従業員の適用条件は、以下の4点をすべて満たすような、パート・アルバイト従業員です。
1. 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
2. 基本給と諸手当が月額8万8000円以上
3. 2ヶ月を超える雇用見込み
4. 学生以外(夜間学生、休学中の学生は加入対象)
社会保険は条件を満たしていれば扶養から外れて必ず加入することになる
条件を満たしていれば、社会保険には必ず入ることになります。対象となった人の社会保険への加入は、国により義務付けられているからです。
健康保険法により、従業員が条件を満たしており、加入義務があるにもかかわらず、会社側が社会保険に加入させていなかった場合は、会社に6ヶ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられることもあります。
どうしても加入したくない場合の対処法
条件を満たした状態であるにもかかわらず、加入しないということは、基本的にできません。
しかし、条件に当てはまっていなければ、加入する必要はなくなります。加入しないための条件とは、所定労働時間を20時間未満にするとか、月収を8万8000円以内に抑えるなどです。ただし、どちらの方法でも、収入が減ってしまいます。
ほかには、社会保険加入が義務ではない、従業員数が50人以下の会社へ転職することも、一つの手段です。これから転職して、扶養内で働きたいという人は、時給や従業員数などを確認して、加入が義務にならないかを、よく調べておきましょう。
なお、社会保険制度は、傷病手当などの保障が充実しており、将来受け取る年金も、国民年金に加えて、厚生年金の分が増えますので、メリットが多い制度です。
手厚い保障もなくて、収入が減ることになっても、社会保険に加入しないほうを選ぶのか、よく考えてから決めましょう。扶養内に入っている場合は、家族と相談することも必要です。
加入したくない場合は勤務先に相談してみる
社会保険は、条件を満たしていれば、加入することが義務付けられています。どうしても加入したくない場合は、収入が減ることを覚悟したうえで、勤務時間を減らすか、規模が50人以下の会社に転職するかを、選択することが必要になります。
また、新たに加入対象者になる場合は、会社側から説明を受けられるため、疑問点などの分からないことは、事前にすべて聞いておきましょう。社会保険制度は、将来受け取る年金が増えたり、保障が手厚くなったりと、メリットも多いので、説明をよく聞いて、メリットを理解したうえで、選択することが大切です。
出典
日本年金機構 「Q どうして被用者保険の適用拡大を進める必要があるのですか。」
厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック
デジタル庁 e-GOV法令検索 大正十一年法律第七十号 健康保険法 「第三章 被保険者 第三節 届出等 第四十八条(届出)」「第十一章 罰則 第二百八条」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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