更新日: 2023.10.13 医療保険
旅行先で急病、保険証を持ってない! 診察代が10割負担になったら差額はどうやって返してもらう?
本記事では公的医療保険の仕組みとあわせて、10割負担したあとに返してもらう方法を解説します。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
公的医療保険の仕組みをおさらいしよう
日本の公的医療の仕組みはどうなっているのでしょうか?
国内の病院や診療所で診察を受けた場合、保険証を持っていれば、窓口で支払う金額は負担割合に応じてかかった医療費の一部で済むようになっています。負担割合は年齢や所得によって違いはありますが、窓口では最大3割負担することになっています。
具体的には、かかった診察費が5万円だった場合、その3割を負担すればよいので、5万円×3割で1万5000円支払うことになります。ただし、これはあくまでも保険証を持っている場合の金額です。手元に保険証がない場合には、かかった診察費の全額・10割の5万円を支払わなければならない決まりになっています。
なお、治療の内容によっては、3割負担の対象にならないものもあります。
10割負担したときの差額は自分で申請して返してもらう
保険証を持っていないときに診察を受けた場合、一時的に診察費の全額10割を負担することになりますが、あとから国民健康保険が負担する金額を差額として返還してもらうことができます。
返還してもらう方法としては、住所地の医療保険部保険年金課等に申請書とともに保険証や領収書等の必要な書類を添付して手続きします。図表1はその一例です。
図表1
出典:八王子市「療養費」より筆者作成
なお、支払った診療費を返してもらうときは、現金ではなく、自身が指定した口座へ振り込んでもらう仕組みになっています。振込口座として指定できるのは、原則、世帯主の口座です。世帯主以外の口座へ振り込んでもらいたい場合は、委任状が必要です。
また、この差額分を取り戻す申請手続きには時効があり、医療機関に支払いをした日の翌日から2年です。時効により申請できなくなりますので注意してください。
海外で支払った診療費も対象だけど……
海外で急病にかかり、診察を受けることもあるでしょう。そのような場合も、返還の対象になります。図表2は、必要書類の一例です。
図表2
出典:八王子市「療養費」より筆者作成
振込口座や時効については、国内と同様の扱いです。
なお、海外と日本では診察の内容が異なることもあり、日本で3割負担の診察が、必ずしも3割負担の対象ではありません。
申請書は、住所地の窓口へ出向いて受け取るほかに、ダウンロードも可能です。都合のよい方法で、準備するようにしてください。
出典
日本医師会 日本の医療保険制度の仕組み
八王子市 療養費
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト